診療報酬オンライン請求「義務化」方針の撤回を求める声明

当会では4月6日、標記の「声明」を発表、内閣総理大臣、厚生労働大臣、総務大臣、デジタル大臣、地元国会議員に送付しました。


診療報酬オンライン請求「義務化」方針の撤回を求める声明

 厚生労働省は3月22日、光ディスク等で請求する医療機関に対し、2024年9月末までに原則オンライン請求へ移行するよう義務付ける「ロードマップ案」を提示した(社会保障審議会医療保険部会)。2023年度中に請求省令を改正し、残り1年半という期限を切って実施を強行するという信じられないものとなっている。
現状、オンライン請求に対応していない(CD-R等)医療機関は全体で約27%とされているが、医科は約19.4%、歯科は約60.6%であり、とりわけ歯科医療機関に大きな影響を与えることとなる。さらに、紙レセプト請求医療機関はあくまで「経過的な取扱い」と法令上明確化した上で、改めて届出を求めるとしている。しかしながら、これらの請求方法は、医療機関の規模、人手、診療スタイル等も考慮した上で選択されているのであって、そうした実情を無視してオンライン請求を実質上義務付け、それができない医療機関には閉院・廃院を迫るような強権的手法は、到底容認できるものではない。
今回の方針は、医療DXの推進を目的に、2023年4月からのオンライン資格確認の原則義務化、2024年秋の「紙の保険証廃止とマイナンバーカードの保険証化」と一体として、医療機関の犠牲の下で突き進められている。このような地域医療の発展に寄与するはずもない、むしろ地域医療の崩壊を招いている「義務化」ではなく、医療現場の困難な実情に配慮しつつ、医療機関の理解と協力を丁寧に得る努力を重ね、自発的な移行を進めていくことこそ、国として行わなければならない責務である。
したがって、当会では、診療報酬オンライン請求「義務化」の方針に断固抗議する。即時撤回し、現状の取扱いのまま継続することを強く求めるものである。

2023年4月6日 山口県保険医協会