OTC類似薬の保険給付見直しなど薬剤自己負担の拡大に反対する(会長声明)
自民党と日本維新の会が、12月19日にOTC類似薬について新たな患者負担を求めることに合意したことを受け、当会では12月22日に下記の会長声明を発出しました。
OTC類似薬の保険給付見直しなど薬剤自己負担の拡大に反対する
12月19日、自民党と日本維新の会両党の政調会長により、社会保障改革の合意文書がまとめられた。当会では、この間、OTC類似薬の保険外しや選定療養の拡大等に反対し、患者負担増施策の中止を求めて要請を重ねてきており、今回の合意は到底認められない。
合意内容では、OTC類似薬の保険給付見直し(約900億円)、食品類似薬の見直し(約340億円)、長期収載品の選定療養拡大(約290億円)、長期処方・リフィル処方の活用(約350億円)で約1,880億円の削減が見込まれている。OTC類似薬については、77成分(約1,100品目)を対象医薬品とし、薬剤費の「4分の1」を保険外負担(特別の料金)として患者に負担させる新たな仕組みを創設するとしている。子どもやがん・難病患者など要配慮者の負担は抑えるとしているが、「保険外し」であることに変わりはなく、実質的な混合診療である。その上、今後も対象範囲の拡大を目指す、特別の料金の引き上げも検討するとしており、まさに「蟻の一穴」となっている。その他の内容は、中医協で厚労省が提示しているものと合致し、食品類似薬はエンシュア・リキッド等栄養保持を目的とする6品目の見直し、長期収載品は後発医薬品との薬価差を「2分の1」へ引き上げ、長期処方・リフィル処方は院内掲示や処方箋様式の運用変更等であり、次期診療報酬改定に影響するものとなっている。
OTC類似薬の保険給付見直しは、「保険外し」に他ならない。当会では、実質的な混合診療の拡大であり国民皆保険制度の崩壊につながること、受診抑制により重症化し結果的に医療費が増加することなどを繰り返し訴えてきた。現役世代の負担軽減を図るとして国民間を「分断」し、全世代型社会保障制度の構築と称して医療費削減ありきで決定することは許しがたく、改めて反対を表明する。
当会は、今回の薬剤自己負担を含む患者負担増施策の中止を求め、患者、国民とともに、来年の通常国会に向けて取り組んでいく。「いつでも、どこでも、だれでも」が安心して医療を受けられるよう、政府には、必要な財源を医療に投入する「責任ある財源」論に政策転換し、医療費抑制策を中止するよう何度でも訴えていくものである。
2025年12月22日 山口県保険医協会 会長 阿部 政則

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