社会保障制度改悪を許さない待合室から患者さんの声を(会報2月号「主張」)
「あなたのことを一番分かっているかかりつけの先生が、ある日突然いなくなるかもしれません。医療機関の収入である診療報酬は、国が2年ごとに定めていますが、物価高騰や人件費増のスピードに、全く追いついていません。スタッフの給料を十分に上げられず、消費税の負担も深刻です。いま、地域の医療機関は、物価高騰と公定価格である診療報酬抑制の中で、静かに限界を迎えつつあります。医療はいのちと生活を支える大切なインフラです。皆さまのご理解と応援をお願いします」。
昨年、「このポスターを待合室に掲示してください」との依頼があったそうです。保団連や保険医協会からではありません。熊本市医師会から熊本市の医療機関に対するお願いです。以前なら、このような内容のポスターを医師会が発行することはほとんどあり得なかったと思います。それだけ事態が緊迫しているということです。保団連では、これまでも2年に1度しかない診療報酬の改定は10%以上の改定率が必要である、とデータに基づいて要請を行ってきました。今回、「10%以上の引き上げが必要だ」と初めて、医師会、歯科医師会も足並みがそろいました。そして、それぞれの立場でなぜ10%以上の引き上げなのかについて、国やマスコミに対しても丁寧な説明を行っています。その結果、高市首相は、国民の皆様の命と健康を守ることは重要な安全保障だとして「健康医療安全保障」という概念を打ち出し、重要施策の一つに掲げたと公言しました。医療団体として、やるべきことをやったという感じでしたが、結果は薬価マイナス0.86%、材料マイナス0.01%で、全体の改定率は2.22%となりました。地域医療崩壊の危機打開には全く不十分だと言えます。今後も継続してこのことを国へ示すとともに、医療現場の厳しい状況を発信していく医療運動がますます重要となってきます。
2月8日の衆議院選挙では、全体で465議席のうち316議席を自民党が占め、単独で3分の2以上の議席を獲得しました。小選挙区での自民党への得票率は26.9%にもかかわらず、議席数は全体の約86%の249議席です。多党化の進む中で小選挙区では圧倒的な議席を得る結果となっています。それでも私たちの活動が変わるわけではありません。
2月18日から特別国会が始まります。ここでは、薬の保険外し(OTC類似薬、長期収載医薬品など)、高額療養費の負担上限引き上げ、高齢者の医療費窓口負担増と、患者負担増の計画が目白押しです。医療現場からすべきことはまだまだあります。負担増の内容を待合室から発信しましょう。保団連では機関紙による広報、待合室ポスターの作成、そして、国会請願署名もスタートします。従来の健康保険証の復活、資格確認書の全員交付を求める取組みも継続して、関係団体、患者さんとの連携のもと、記者会見等でマスコミも取り込んで国民世論を大いに盛り上げて、国への要請を強めていく必要があります。
数を力に社会保障制度の改悪を進めることは許されません。患者負担増は国民の誰一人として認めるものではないはずです。多くの国民の声 を結集するためにも、待合室からの強力な発信が求められています。

