現行の健康保険証を残す賢明かつ果断な対応を求める(会長声明)
当会では、12月2日、下記の内容で会長声明を発出しました。
【声明】
現行の健康保険証を残す賢明かつ果断な対応を求める
~12月2日健康保険証の新規発行停止日を迎えて~
現行の健康保険証が新規発行停止となる12月2日を迎えた。これにより健康保険証は事実上、廃止されることとなった。これまでマイナ保険証での受診によるトラブル実態調査など現場の声を国会や行政に届けてきたにもかかわらず、方針転換を行わない政府の姿勢は、到底認められるものではない。また、今後、健康保険証の代替として発行される「資格確認書」は、申請を前提としており、有効期限は最長5年、職権交付は当面の取扱いである。つまりは、保険者の責任によりすべての国民に健康保険証が届けられる国民皆保険制度の根幹にかかわる問題を内包することを忘れてはならない。
政府は、マイナ保険証に一本化する方針に固執するあまり、「資格確認書」や「資格情報のお知らせ」の発行など、資格確認のための手段を9通りにも増やし、現場に対応を丸投げした。トラブルが続く医療現場の混乱をよそに、「不安の解消や周知に努める」と言うだけで、根本的解決を図る姿勢は見られない。こうした政府による強制ともいえる手法がかえって国民の反発を招き、マイナ保険証の利用登録解除が進むとともに、マイナ保険証の利用率はいまだに15.67%(10月)にとどまり、あまつさえ国家公務員の利用率は13.58%(9月)と低迷したままである。
医療DXとはいったい誰のためのものなのか。政府方針に対応できなければ、閉院の選択をせざるを得ない医療機関もある。介護施設等ではマイナ保険証の取得、管理面への不安の声が後を絶たない。自治体においては資格確認書の発行等で負担が生じている。これらの問題を放置したまま、マイナ保険証一本化ありきで施策を推し進めても、国民の健康で豊かな生活につながるとする医療DXが成立しないのは明らかであり、いったん立ち止まって再考すべきである。
臨時国会が開会中である。政府には、マイナ保険証に一本化せず現行の健康保険証を残すこと、マイナ免許証と同様、マイナ保険証と現行の健康保険証を併用できる方針に見直すよう、賢明かつ果断な対応を求めたい。当会は、政府が受け入れるまで、「健康保険証を残せ」と何度でも訴えていく決意である。
2024年12月2日 山口県保険医協会 会長 阿部 政則