【談話】高額療養費自己負担限度額引き上げ”見送り”方針を受けて

当会は、3月7日、高額療養費の自己負担限度額引き上げの見送り方針を受け、下記の内容で談話を発出しました。


 

【談話】

誰もがお金の心配なく安心して社会保障を受けられるように

~高額療養費の自己負担限度額引き上げの見送り方針を受けて~

 高額療養費制度の見直しについて、本年8月実施の自己負担限度額引き上げは見送ることが報じられた。本日の参議院予算委員会において、石破首相が「患者団体の話も聴いて政府として判断する」としたことを受けたものだが、患者団体は制度見直しの凍結を求めており、政府方針のまま突き進める余地はない

 患者団体をはじめ全国の保険医協会、保団連では、昨年12月の社会保障審議会・医療保険部会で見直し内容が示されたときから、大幅な患者負担増になるとして反対運動を繰り広げてきた。当初、患者団体にはヒアリングしないとした政府の強硬姿勢も世論の広がりにより押し込まれ、丁寧な説明が足りなかったと釈明、多数回該当の凍結、本年8月の自己負担限度額引き上げ以降の見直しは今秋までに再検討とするなど、小手先の修正を繰り返してきた。今度こそ、政府には制度見直しの白紙撤回を下す英断を求めたい

 今回の動きは、国民世論の盛り上がりが確実に実を結ぶことを示した。これは、我々が取り組む「健康保険証を残せ」の運動もその声を広げていけば、確実に政治を動かすことができる証拠となる朗報である。本年7月の参議院選挙という政局をふまえれば、通常国会会期中の運動及び議員要請は極めて重要な意味を持つ。今後、自公維の3党合意による社会保障改革は、高額療養費制度だけでなく保険給付のあり方の見直しも議論されていく。社会保障費という枠組みの中での財源論に終始すれば、保険財政の持続可能性と称した官僚主導の改革工程を推し進める議論にしかならない。当会では、必要な財源を社会保障費に充当するための真っ当な議論を求めるとともに、誰もがお金の心配なく安心して社会保障を受けられる制度とするよう、患者・国民とともに訴えていくものである。

2025年3月7日 山口県保険医協会

会長 阿部 政則