現行の健康保険証を残すことを求める ―マイナ保険証一本化ありきではなく健康保険証と併用できる方針に―

当会では10月16日、下記の内容で内閣総理大臣等、関係閣僚に要請書を提出しました。


内閣総理大臣 石破 茂 様

山口県保険医協会 会長 阿部 政則

現行の健康保険証を残すことを求める要請書

―マイナ保険証一本化ありきではなく健康保険証と併用できる方針に―

拝啓 貴職には国民医療の発展、向上にご尽力賜り、厚く御礼申し上げます。

 政府は本年12月2日に、現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに一本化(マイナ保険証に)することを閣議決定しました。しかし、総点検後も、黒丸表記、カードリーダーでのエラー、資格情報が無効との表示など、マイナ保険証での受診によるトラブルは後を絶ちません。当会が本年8月に会員医療機関へ調査した結果、「トラブルがあった」との回答は75%にも上り(全国69.7%)、その際の対応は「現行の健康保険証で資格確認した」が74.5%で(全国78.3%)、こうした事例を反映して「健康保険証は残すべき」とする回答は82.9%となっています(全国76.9%)。

 本年5~7月にかけ、政府はマイナ保険証利用促進の取組集中月間を設けて多額の補助金を投入するなど、あらゆる手段でマイナ保険証を推進してきましたが、結果として、7月の利用率は11.13%であり、5月から僅か3.4%の伸びにとどまりました。多くの国民がマイナ保険証の利用について必要性を感じるのであれば、利用率は自然と上がるはずで、強制ともいえる方法が国民や医療機関からの反発を招いていると考えます。

 当会は、デジタル化に反対しているのではありません。未完成な医療DXを無理に押し付け、期限を切って強引に進める施策を問題にしています。折しも、マイナ免許証が2025年3月に導入される方針が示されましたが、切り替えは任意、マイナ免許証導入後も従来の免許証が使えるとされています。マイナ保険証をめぐり、本年12月2日に現行の健康保険証を廃止すれば現場が間違いなく混乱する状況を鑑みるに、マイナ免許証におけるハイブリッド型の方法は現時点で極めて有効な手段であり、マイナ保険証の一本化方針の問題を解消するものと考えられます。

 つきましては、当会は下記事項を要請致します。ご高配のほどよろしくお願い申し上げます。                             敬具

一、マイナ保険証に一本化せず、現行の健康保険証を残すこと。

一、マイナ免許証と同様、マイナ保険証と現行の健康保険証を併用できる方針に見直すこと。

以上