消費税の控除対象外消費税は税制による抜本的な解決を
当会は10/21、税制での「損税」解消を求める会長声明を発出し、総理大臣、財務大臣、厚労大臣と、地元選出の衆参各国会議員に送付しました。
2025年10月21日
山口県保険医協会 会長 阿部 政則
消費税の控除対象外消費税は税制による抜本的な解決を
10月8日の中医協総会で示された消費税の診療報酬への補填状況は、過去の集計に誤りがあり、「補填不足」となっていたことが報告された。2018年の修正に続き2回目の過誤となるもので、当会をはじめとした各医療団体が、補填方式では消費税の控除対象外消費税(「損税」)の抜本的な解決には至らないと訴えてきたことが証明されるかたちとなった。
社会保険診療に関する消費税は、現在、非課税の取り扱いであるため、医療機関等は、仕入れに対して支払った消費税を控除することができず、医療機関等の負担となっている。その仕入れにかかった消費税相当分について、診療報酬等に補填するのが現行の仕組みであるが、これでは補填分が不十分であるうえ、医療機関の規模や診療科、当該年度の経費額等によって大きな差が生じるため、医療機関毎の対応は制度上できない。とりわけ多額の設備投資等を行った際の消費税が物価高騰の影響が追い打ちとなって医院経営に大変な負担となっている。さらに政府の強引な医療DX化に対応するための設備投資を強要されるなか、2年に1度の診療報酬改定による対応では「損税」解消はできないことは明白である。
消費税は「社会保障の財源」という名目で国民に大きな負担を強いてきたが、消費税の負担が増えても、社会保険料の高騰、病床削減、医療費の自己負担増など、全世代にわたって社会保障制度の切り崩しが続く一方で、戦後最大の収益を更新し続けている大企業や富裕層への減税・優遇税制は、現在も継続・拡大されている。また、政府の社会保障費への繰り入れは一般会計から支出され、消費税収だけを運用しているものではないため、「消費税を減税すると社会保障が削減される」という脅しは、もはや通用しない。物価高騰等に苦しむ国民生活、医療機関経営を支援するためにも、消費税は緊急的に5%に減税すべきである。
政府には、医療機関への緊急財政措置と、次期診療報酬改定での10%以上の大幅引上げ、患者負担の軽減を行うとともに、消費税「損税」を解消するために税制による抜本的な解決を求めるものである。

