歯科医療費の総枠拡大等を求め要請(保団連中国ブロック協議会)

 10月1日に開催された保団連中国ブロック歯科活動交流会では、歯科技工問題はじめ歯科医療をめぐる諸問題の解決に向け歯科医療費の総枠拡大をもとめ、下記の要請書を確認、厚生労働大臣・内閣総理大臣等へ提出しました。


厚生労働行政へのご尽力に感謝申し上げます。

 長年、低診療報酬におかれている歯科医療は、新型コロナの蔓延による受診控えや物価・エネルギー高騰のあおりを受け、これまでにない厳しい状況にあります。1991年から2020年の30年で、国民医療費は21.8兆円から42.9兆円に倍増しています。しかし歯科医療費の割合は、9.7%(2.1兆円)から6.9%(3.0兆円)に低下し、実増9,000億円に抑えられています。本来、4兆円の歯科医療費が確保されるべき歯科医療は、低歯科医療費政策によって、1兆円分の必要な医療が削られているといえます。

 なかでも、歯科技工をめぐる問題は極めて深刻です。歯科技工士は長時間労働・低賃金によって離職者が増加するとともに、全国の歯科技工士養成所数は、1991年度から2023年度の間に、72校から47校に、入学者数は3,155人から736人へと減少しており、このままでは近い将来、歯科技工物の安定供給が困難になってしまいます。こうした状況をもたらしている要因は低廉な歯科技工料(委託技工料)にありますが、多くの部分で不採算となっているチェアサイドの技術料(形成、印象採得、咬合採得、試適、装着などの歯科医師の技術料)の低評価が根本的な問題です。歯科技工問題はまさに経済問題であり、歯科医療機関、歯科技工所の経営がともに成り立つためにも低すぎる歯科診療報酬の大幅な引き上げは不可欠です。同時に、歯科技工士に適切な委託技工料が手渡るような実効的なルールの策定も急がれなくてはなりません。

 歯科医療をめぐっては、初・再診料の医科・歯科間の格差、施設基準による基本診療料や技術料の差別化、金銀パラジウム合金の「逆ザヤ」問題、スタッフ不足など、様々な問題が山積しています。当協議会では、歯科技工問題をはじめ、歯科医療をめぐる諸問題の解決に向け、以下の事項を強く求めます。

【要請事項】

歯科技工問題はじめ歯科医療をめぐる諸問題を解決し、保険でよりよい歯科医療を実現するために、歯科医療費の総枠を拡大すること。

(2023年10月1日 保団連中国ブロック協議会)