新型コロナウイルス感染症の「5類」への移行に伴う医療提供体制の確保を求める要請
当会では、5月12日、山口県知事に対し標記の要請書を提出しました。
2023年5月12日
山口県知事
村 岡 嗣 政 様
山口県保険医協会
会長 阿部 政則
新型コロナウイルス感染症の「5類」への移行に伴う医療提供体制の確保を求める要請
政府は、新型コロナウイルス感染症における感染症法上の位置づけを、5月8日より5類へ移行することを決定しました。それに伴って、医療提供体制等の見直しに関する方針(「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公的支援の見直し等について(2023年3月10日事務連絡)」)を発表し、その「具体的内容」も示されました(2023年3月17日事務連絡:最終改正4月28日)。ここでは、「限られた医療機関による特別な対応」から「幅広い医療機関による自立的な通常の対応」に移行していくことを基本に、一般の病院、診療所を含め広く新型コロナウイルス感染症への対応を求めており、そのために、診療報酬特例も見直しています。
こうした国の方針をもとに、県でも「新たな医療提供体制の構築に向けた検討会議」を開催しています。国の基本的な考え方に沿って、県としての医療提供体制整備を進めておられますが、新型コロナ感染症対策に関する措置や方針の変更、とりわけ行政としてのかかわりの変化に対して、これまで発熱外来を担ってきた医療機関を含めて多くの医療従事者から不安の声も聞かれます。
そのため当会では、会員アンケートを行い、5類移行に対する医療現場における意見を集約致しました(結果については同封の資料をご参照ください)。新型コロナについては感染症自体が収束したわけではなく、専門家の間でもウイルスの特性などから今後も流行の継続が指摘されており、感染対策の緩和などによる感染拡大も懸念されています。今回のアンケート結果もふまえて、国民のいのちと健康を守るため、そして医療現場に混乱を生じさせないために、別記のとおり要請致します。なお、県としての対応等に関し文書にてご回答頂けると幸いです。
【別記】
(1)入院調整については医療機関間の対応のみに任せるのではなく、行政としてのかかわりを明確にすること。とりわけ、医療逼迫の事態においては、保健所等の行政機関が即座に対応できるシステムを事前に構築しておくこと。
(2)重症化リスクの高い高齢者が多く生活・療養する高齢者施設等においては、医療機関との連携が施設に任せられることにより、陽性者がそのまま施設に留め置かれる事態も想定される。そうしたもとではクラスターの発生などが危惧されることから、必要な入院医療の確保(入院調整)については施設任せではなく、体制整備も含めた公的な支援を行うこと。
(3)医療機関等情報支援システム(G-MIS)の活用のため、外来対応医療機関に対しては日々の発熱患者数及び検査数等の入力が求められている。これに関してこれまでに増して負担が大きくなったとの意見が出ており、実態を把握した上で問題点があれば改善をすること。
(4)医療法上の位置づけが変更されたとはいえ、新型コロナウイルス感染症に対する日常的な感染症対策に変わりはないこと、とりわけ医療機関への受診の際には感染対策が必要となることを、広く県民に周知し、徹底すること。