患者負担増(OTC類似薬の保険はずし、高額療養費制度の見直しなど)施策の中止を要請
当会では、10/22、総理大臣、財務大臣、厚労大臣に対し下記の内容で要請しました。
2025年10月22日
内閣総理大臣 高市 早苗 様
財 務 大臣 片山 さつき 様
厚生労働大臣 上野 賢一郎 様
山口県保険医協会 会長 阿部 政則
OTC類似薬の保険外し、高額療養費制度の見直しなど
患者負担増施策の中止を求める要請書
拝啓 貴職には国民医療の向上に日夜ご尽力賜り、厚く御礼申し上げます。
本年6月、自民党、公明党、日本維新の会により「OTC類似薬の保険給付のあり方の見直し」などが3党合意として交わされ、「骨太の方針2025」に反映されました。これらの施策が導入されれば、保険給付の範囲が縮小されるとともに、プライマリケアを担う保険医の保険診療、経営に大きな影響を与えることから、当会では、10月に会員アンケートを実施しました。結果は、OTC類似薬(保険薬)の保険適用除外や、保険診療とOTC薬(市販薬)の処方の組み合わせのための選定療養化に「反対」が7割で、スイッチOTC化の推進についても「反対」が6割近くありました。また、OTC薬の服用による副作用や症状悪化による受診患者が「いる」との回答は3割強で、その内、総合感冒剤や鎮痛薬のOTC薬が5割近く、「鎮痛薬で痛みを抑え続けて症状が重症化した」「痛みを抑えたせいで抜歯になった」などの具体例が現場から寄せられています。
OTC類似薬は日常診療で処方される薬剤が多く含まれています。保険適用除外となれば患者負担増や受診抑制となることは明らかで、安全も担保できないばかりか、かえって重症化し、結果的に医療費が増加することになりかねません。選定療養費化にいたっては、現場の混乱はもとより実質的な混合診療の拡大に他ならず、国民皆保険制度の崩壊につながるもので、到底認められるものではありません。
こうした患者負担増施策は、「財源なき給付削減」が根底にあり、全世代型社会保障制度の構築と称した医療費削減ありきの手法に問題があります。会員アンケートでは、高額療養費制度の負担限度額の引き上げについても「反対」が6割でした。高薬価の問題などもあり国民皆保険制度が限界で「やむを得ない」「仕方がない」などの意見も見受けられましたが、必要な財源を意図的に医療へ投入しない政府方針が問題で、「いつでも、どこでも、だれでも」が安心して医療を受けられるよう、政府は「責任ある財源論」をもとに医療費抑制策を転換すべきです。
つきましては、下記事項について要請致します。何卒ご高配賜りますようお願い申し上げます。敬具
記
一、OTC類似薬の保険外しは行わないこと。
一、高額療養費制度の見直し(負担限度額の引き上げ)を撤回すること。
一、必要な財源を医療に投入し、患者負担増施策を中止すること。
以上

