国民の民意は「与党過半数大幅割れ」(会報11月号「主張」)
10月27日に行われた、衆議院議員選挙の結果、国民の民意は「与党の大幅過半数割れ」であった。自・公少数与党による政権運営は困難が予想され、もっと国民に寄り添った政治をという民意がどのような形で実現されるのかは不透明である。
保険医協会の会員数は当県で約1400人、全国では約10万5000人にものぼるが、その内、約7割は医師会・歯科医師会にも入会している。保団連の全国会議等での報告・議論を引き合いに出すまでもなく、「医療と政治」には密接な関係がある。政治と医療の関わり合いを、医政の面から見てみると、医師会・歯科医師会の政治連盟は基本的には自民党支持だが、保険医協会・医会には特定の支持政党はなく、医療の現場で問題となっている身近な事柄や将来的に危惧される事柄を、医師・歯科医師の立場から、与野党問わず、懇談・要請を行っている。政局は確かに不安定ではあるが、全国の協会・医会の立場は今までと変わりなく会員の声を届けていくことになる。ただし、今までは与党が圧倒的多数を占め、一度決まったことに対しては、せっかく会員の声を届けても反映させるのが難しいことも多かった。
国会における各委員会の委員長ポストはほとんどを与党が占めており、法案が国会に上がってきても、わずかな修正が行われる程度で、最終的には多数決で与党の原案に近い形で決まるということが多かった。マスコミ報道等で国会軽視という声も聞こえたが、与党がルール違反をしているというわけでもなく、選挙結果の民意が反映されているので仕方ない面もあった。しかし、今回の選挙結果を受け、予算委員会をはじめ、野党議員も半数近くの委員長ポストに就任している。過半数に満たない少数与党には丁寧な運営が求められ、われわれの現場の声を今まで以上に聞いてもらえるチャンスではないかととらえている会員も多い。立憲民主党は、11月12日に、現行の健康保険証の廃止時期を延長し、マイナ保険証と併用できる状態を続ける議員立法を国会に提出した。共産党・れいわ新選組等も、以前より保険証廃止には反対の立場をとっており、保団連の活動に賛同を寄せてくれる政党が複数ある。自民党の総裁選挙時には、石破首相も林官房長官も理解を示していたので、国会での議論に期待したい。
医療費抑制策に基づく診療報酬の抑制や患者窓口負担の拡大、長期にわたる医薬品不足、長期収載品の選定療養を用いた保険外し、医療DX推進の名のもとにオンライン資格確認の義務化、続いてオンライン請求の義務化、紙の保険証の廃止、さらには電子処方箋や、電子カルテの導入等、問題を解決しないまま強引に前へ進める政府のやり方に、医療機関は疲弊しきっている。協会・医会、保団連では以前より、年に数回、国会内集会を開催し、与野党問わずすべての国会議員に一斉に署名を手渡し、アンケート結果を説明し、さらには国が良いと思って実行している医療政策の中には、医療現場では逆に問題となっていることもあり、これを詳しく説明し、改善に向けた要請を行っている。
11月28日には、東京保険医協会が国を訴えた、オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟の判決が出る。判決内容によっては、政府の保険証廃止の施行を否定する場合もありうる。静かに見守りたい。また、同日、臨時国会が召集され、これに合わせて保団連の国会内集会も開催される。全国からほとんどの協会・医会が参加する。すべての国会議員に一斉に保険証廃止の延長をはじめ、直面している医療問題を説明し、同時に署名の提出も行う。現場の声を届けるためにも、引き続き署名やアンケート調査への協力をお願いいたします。(会報11月号「主張」)