医科歯科一体で国民も共に喜べる医療の充実を目指そう~「3つの署名」にぜひともご協力を~
先生方のお手元に3種類の署名用紙が届いているはずである。年度末の忙しい時に、よりによって一度に3種類もとお怒りの気持ちもあるかもしれないが、署名請願は保険医協会にとって重要な活動の一つである。ぜひともご協力いただきたい。
山口県保険医協会は、1972年11月に国民医療の改善と保険医の経営・権利・生活を守るために設立されている。今更述べるまでもなく先生方はよくご存じだと思うが、医師会や歯科医師会と違うのは両者が定款で「医道の高揚、学術の普及・発展、公衆衛生の向上を図る」ことを掲げた学術団体であり、また行政の認可を受けてのもので行政関連の業務も担う公益社団法人であるのに対し、保険医協会は保険医の要求に基づく事業や活動を進める自主的な団体であるということである。
今回の署名活動も保険医協会に所属する会員自らの要求によるものであることを忘れてはならない。山口県保険医協会の当面の運動課題の一つに「さらなる医療・介護負担増を許さない」という取り組みがある。昨年の10月、一定所得以上の高齢者は医療費窓口負担が2倍化され2割負担となったが、今度は保険料の引き上げなどのさらなる負担増が盛り込まれた「全世代型社会保障法案」が閣議決定され、今国会で審議されようとしている。他方で、国民皆保険制度はどこかに忘れ去られたのか、実質的にはマイナンバーカード取得が義務化となる、健康保険証廃止法案の提出も予定されている。また、低歯科医療費政策にあえぐ歯科界においては、保険で良い歯科医療の実現を目指す運動は非常に重要となっている。これら政府の施策に対し、物申していこうというのが、今回の3署名なのである。
ここにきて国民に大きな影響を及ぼす医療制度の関する法案が、急速に目白押しになってしまっている。こうした政府の動きに対して、私たちができることといえば、国民が「反対だ!」と言っているその声を届けることである。今までの取り組みのすべてが上手く行っていたわけではなく、どんなに請願署名を届けても「そんなもの無駄」だと思われている先生もいらっしゃるかもしれないが、医師と歯科医師が一緒に自主的に活動する中での取り組みなので、しつこいかもしれないが、「どうぞご協力ください」と声を大にして言いたい。
そう、保険医協会の良いところは、医師と歯科医師が互いに協力して、国民だけでなく医師も歯科医師もともに喜べる医療の充実を目的としているところである。だからこそ、今回の3署名の実施もお願いできるのである。今回の署名は、①「負担増ストップ! 国民の医療と介護を守る緊急署名」、②「健康保険証を廃止しないことを求める請願署名」、③「保険でより良い歯科医療の実現を求める請願署名」の3種類である。①、②に関しては医科歯科どちらにも直接関係する内容であるが、③に関しては、一見歯科のためだけの署名にも思える。しかし、歯科の現状を理解してくださったり、口腔の健康は身体の健康につながっていると理解してくださったり、そして何より、保険医協会員として、医科歯科が互いに協力し合って、保険医療制度の改善という共通の目的に進もうとしている良い例だと思う。
3つの署名の「お願い文」には、「趣旨にご賛同いただける場合、ご署名ください。いずれかの署名のみでも結構です」とした。もちろん保険医
協会員であっても様々な主義主張をお持ちであることは仕方ないことであるが、3つの署名の内容はいずれも、私たち医療者側だけでなく、多くの国民が、困ったり、戸惑ったりしている問題に対して改善を求めていることには変わりない。マイナンバーカードを国民に広く普及するために医療が利用されることは変なことであるし、変なことを強引に推し進めると必ずどこかにしわ寄せがくる。そのことに気付きながらそのままでいるというのはやめよう。署名については「ご協力をお願いしたい」としか言えないが、ぜひとも心の声を聴いて動いて欲しい。
(2023年3月)