医療費抑制を目的とした後発医薬品使用促進策の見直しを要請 

当会では、11月22日、医療費抑制を目的とした後発医薬品使用促進策の見直しを求め、内閣総理大臣並びに厚生労働大臣に、下記の内容で要請書を提出しました。


【医療費抑制を目的とした後発医薬品使用促進策の見直しを求める要請書】

拝啓 貴職には、日夜、国民医療の発展にご尽力頂き、厚く御礼申し上げます。

 医薬品の供給不足が続き、医療現場では、治療に必要な医薬品が処方できない、処方内容の変更や休薬を余儀なくされる、という深刻な事態に陥っています。2020年末の小林化工、日医工による不祥事が発端ですが、新型コロナウイルス感染症の流行による解熱剤や感冒薬の需要増もあり、現在、全医薬品の22.9%が限定出荷・供給停止、後発品に限ると32.3%にものぼります(2023年8月日本製薬団体連合会)。そうした中で、本年10月末には沢井製薬による不祥事も発覚し、更なる医薬品の不安定供給の拡大が見込まれ、患者の健康被害も危惧されます。

 医薬品メーカーのガバナンス欠如、利益最優先の体質など企業側の責任が問われることは言うまでもありませんが、根本的な要因は、医療費抑制を目的とした国による行き過ぎた後発医薬品の使用促進政策にあることを認識すべきです。2023年度末までに後発医薬品の数量シェアを80%以上とするため、先発医薬品と同様の効果等と謳い、安全性への不安には真面に応えず、医療機関・薬局には診療報酬や調剤報酬で使用促進を誘導し、後発医薬品メーカーは医薬品を増産、それによる過激な競争により安全性にかけるコストを削減した結果が、今回の事態を発生させたことは明らかです。このまま市場任せにしては患者に必要な医薬品を作られないことさえ想定され、実際、利益のためにOTC薬へシフトしている状況も見られます。

 世界に冠たる医療保険制度がありながら、このような事態が起こることはあってはなりません。国として、後発医薬品について先発医薬品との同等性や副作用を含む安全性等を改めて検証するとともに、医薬品の品質管理や安定供給に対する整備、規制や監督を強化し、供給不足が起きる根本原因を解決するよう、早急な対応を求めるものです。何とぞよろしくお願い申し上げます。 

敬具

 一、後発医薬品の使用促進政策を見直し、診療報酬等での政策誘導をやめること。

 一、国の責任で、供給停止・限定出荷となっている医薬品を早急に確保すること。

以上