サイバーセキュリティ対策に関する要請書

 当会では、5月24日、標記の要請書を厚生労働大臣に提出しました。


2023年5月24日

厚生労働大臣

加藤 勝信 様

山口県保険医協会

会長 阿部 政則

サイバーセキュリティ対策に関する要請書

拝啓 貴職には、国民医療の確保にご尽力賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、昨今のランサムウェアによるサイバー攻撃により、複数の病院や診療所で電子カルテ等システムが被害を受け、診療に大きな影響が発生するなど、その脅威は日ごとに増しています。こうした事態を受け、厚生労働省では、本年4月1日に医療法施行規則を改正し、病院や診療所等の管理者が遵守すべきものとして、サイバーセキュリティ確保のための必要な措置を講じなければならないとする条項を追加しました。これにより、サイバーセキュリティ対策は医療法に基づく立入検査においても点検されることとなり、医療機関では早急な対応が迫られているところです。

 しかしながら、医療機関の多くは、サイバーセキュリティを含むシステム整備の専門的な人材確保が困難なこともあり、その対策に着手できていません。ガイドライン等に基づくセキュリティ対応を含めた契約関係や費用も、システム業者に依存せざるを得ないのが現状です。そもそも長年にわたる医療費削減政策により厳しい経営を強いられている医療機関には、サイバーセキュリティ対策のコストを捻出できる余裕は全くありません。医療DXを推し進める政府が、医療機関に向けて対策を義務付ける以上は、国の責任で、国民の命と健康を守る全ての医療機関の体制整備を支援し、診療の継続性・安全性を担保することが不可欠です。

 つきましては、下記事項について要望いたします。ご高配くださいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

敬具

一、サイバーセキュリティ対策は、国が全責任を持って構築すること。

一、公費により、全ての医療機関の体制整備を支援すること。

以上