コロナ禍ももう3年 日常をどう取り戻すか

コロナになって3年が経ちます。あっという間の3年間でした。最近改めて思う事は、その立場や時代、場所に行かないと、同じような感覚はわからないということです。エアコンをつけて、換気のために1時間に5分程度、窓を全開にするという事は、数年前までは、おかしなこととしか思えない行為でした。「今コロナ感染対策のために、ご協力ください」とお願いされれば、仕方ないなと思います。コロナになってから改めて健康の大切さを実感します。
先日、東大寺に参拝に行きました。久しぶりの旅行で楽しかったです。奈良の大仏は改めて見ると、大変大きな物で、圧倒されます。当時の国力を考えると、すごいものを建築したと思います。当時天然痘が大流行して、聖武天皇が建立させました。
奈良時代は、災害や疫病などの異変は為政者の資質によって引き起こされるとみなす風潮があり、天然痘の流行に個人的な責任を感じた聖武天皇は、東大寺および奈良の大仏の建造を命じました。奈良の大仏の費用だけでも、国の財政を破綻させかねないほど巨額であったと言われています。奈良の大仏を高校生の頃に見たときに、こんな物を建てて、天然痘の発生がおさまる訳がない、こんな無駄使いをして、どうかしているんじゃないか、なんて非科学的な物を作るのだろうかと思いました。今回コロナウイルスが蔓延して、最初は致死率、重症化率も高く、ワクチンや抗ウイルス薬もなかった時に、アマビエのシールを好意でくれた人がいました。いろいろなところに、アマビエのシールが貼ってあるのを見ると、奈良の大仏を建立しようとした聖武天皇や当時の人々の気持ちが幾分理解できました。当時の天然痘の致死率が20%~50%という事を考えると、すがりつきたくきなる気持ちが理解できました。かつての高校生の頃の自分は想像力が足りなかったと思います。
そのコロナ感染は今年に入って急拡大しており、山口県でも1月5日には5000人超の感染者を記録しました。インフルエンザとの同時流行による第8波が危惧されていましたが、まさに全国的に猛威を振るっています。幸い軽症者が多いということで、山口県では第7波の時ほど医療逼迫の状況ではありませんが、死亡者数は確実に増加しており、高齢者をはじめとした重症化リスクの高い人たちへの感染が気になるところです。
そうした中、政府はコロナ対策の見直しの議論を始めました。現在の2類相当から5類への変更など感染症法での位置づけが話題となっていますが、経済活動あるいは財政問題が前提としての話であれば、どうなのかな、とは思います。医療現場における献身的な対応とともに国民の感染予防に対する努力によって、未知のウイルスから既知のウイルスになりつつあるのは事実であり、いつまでも「新型」にとらわれる必要はないかもしれませんが、政府の専門家組織においても、今後の法的位置づけは段階的な移行が求められるとしながら、そのことにかかわらず、医療機関の診療体制の確保、医療逼迫時の調整機能の維持、そしてそれらの対策に必要な財政的措置は必要だとしています。新たな変異株も出現し、まだまだ油断はできないのが現状であり、今後の流行の行方は不確実なものです。そうした実態を踏まえた対応が求められるのではないでしょうか。
昨年からのロシアのウクライナ侵略を見ますと、改めて平和の尊さを痛感します。今年の冬が極寒か暖冬かで、ウクライナ情勢が左右されると言われていました。2023年1月中旬時点で、ウクライナは記録的な暖冬のようです。天はウクライナに味方をするかもしれません。平和に向けた私たちの努力は未知のウイルスとの戦いにも通じるところがあると思います。3年前からの努力が実って、今までのように、疫病の流行らない、平和でテロのない当たり前の日常が取り戻せることを期待します。

(2023年1月)