【声明】健康保険証「廃止」の閣議決定に抗議し、即時撤回を求める

 政府は、12月22日、健康保険証の「廃止」を2024年12月2日と閣議決定した。先日の「総点検」結果を受けて来秋に健康保険証の発行を終了するとしたが、今回、具体的な日程を明示したものである。当会では、「総点検」により不安は払しょくされていない、「健康保険証を残せ」の世論を無視して突き進むべきではない、として、政府には健康保険証の廃止方針を撤回する英断を求めたが、逆に廃止を強行する意志を示したことは言語道断であり、抗議せざるを得ない。

 医療現場ではいまなおトラブルが続出しており(全国保険医団体連合会「マイナ保険証トラブル調査」(中間集計))、「総点検」では何ら解決していないことは明らかであって、岸田首相が判断した「問題がない」という状況にはまるでない。今後、訪問看護ステーションにもその影響は及び、当会が行ったアンケート調査では、健康保険証の廃止方針に「反対」の声が多数出されている。マイナカードの取得・利用が困難な患者への対応、マイナ保険証(暗証番号含む)の管理などが危惧されており、政府は、認知症患者や寝たきりの高齢患者を日夜看護している切実な意見を受け止めるべきである。小手先のトラブル対応に終始し、問題の全容解明や再発防止を放置したままの無責任な状況は、現場に多大なる混乱を招くのである。

 病気やケガの時にすべての国民が安心して医療が受けられるようにするためには、現状では「健康保険証を残す」以外に方法がない。マイナ保険証に一本化することで、申請の漏れや遅れ、行政手続き上のタイムラグ、医療現場でのトラブルなど、様々な要因によって「無保険の状態」を作り出してしまう。国民皆保険制度を崩壊させないために、我々は何度でも「健康保険証を残せ」と訴えていく。政府には、今回の閣議決定を即時撤回することを求めるものである。

2023年12月22日 山口県保険医協会 会長 阿部 政則