高額療養費の自己負担限度額引き上げの中止を要請
当会では、2月7日、内閣総理大臣等に対し、下記の内容で要請しました。
2025年2月7日
内閣総理大臣 石破 茂 様
山口県保険医協会 会長 阿部 政則
高額療養費制度の見直しの撤回を求める要請書
当会では、この間、政府に対し、高額療養費制度の見直しの撤回を繰り返し求めてきました。その中で、厚労相が患者団体等との懇談を通じて、長期間の治療が必要となる患者への配慮として、「多数回該当」の上限額を据え置くことを表明しました。しかしながら、全世代にわたる負担増(負担率は1.03倍~1.76倍、70歳未満の現役世代の年収650~770万円の階層は5万円もの負担増など)は実施する意向であり、当事者の意見を踏まえた解決にはまったくなっていません。
今回の制度見直しによる医療費削減は5,330億円と試算されています。その内訳は、患者負担増による3,060億円の国庫負担金削減だけでなく、負担増による受診抑制分の2,270億円を見込んでいます(社会保障審議会医療保険部会資料)。しかも大義名分としている現役世代の社会保険料軽減は、月あたりわずか92~417円(勤労者は企業主負担と折半で月46~208円)です。まさに患者の命と健康を引き換えにした提案であり、公的医療保険のセーフティネットを持続可能にするどころか機能不全に陥らせるものとして、到底認められません。
高額療養費制度の見直しは、子育て支援財源3.6兆円をねん出する手段ともなっています。このような社会保障充実に必要な財源を「財政中立」の視点からねん出する仕組み自体は解体する必要があります。誰もがお金の心配なく安心して社会保障を受けられるよう、必要な財源は国として支出しなければなりません。
以上より、当会では、改めて下記の通り要請します。
記
一、高額療養費制度の見直しを撤回すること。
以上