長期収載医薬品の選定療養費化の撤回を要請

 当会では5月22日、長期収載医薬品の選定療養費化の撤回を求め、内閣総理大臣・厚生労働大臣・財務大臣に要請書(下記)を提出しました。


ペナルティとして患者負担増を強いる長期収載医薬品の選定療養費化の撤回を求める要請書

 

 2024年度診療報酬改定により、長期収載医薬品の保険給付の選定療養が導入されました(2024年3月27日厚生労働省告示第122号)。本年10月1日から、患者が先発医薬品を希望した場合に、後発医薬品の最高価格帯との価格差の4分の1が保険給付から外され、そこに消費税も加えた金額が患者負担とされるというペナルティとしての負担増を強いるものとなっています。このことは、改正健康保険法(2002年)附則に掲げた「将来的な7割給付維持」原則の形骸化はもとより、選定療養の仕組みを濫用した事実上の混合診療解禁と言わざるを得ず、国民皆保険の崩壊につながる問題です。

 対象となる長期収載医薬品は4月19日に公表されましたが1,095品目にも及び、すでに患者から不安の声が出されています。そもそも患者の希望・選択による投薬はあり得ず、医師・歯科医師が診断の上、患者の状態等から判断して薬剤を選択・使用しています。にもかかわらず、投薬にあたり、医療上の必要性があるか否かについて、処方箋の備考欄やレセプトの摘要欄にその理由を記載させるなど、医師・歯科医師の処方権を侵害するものとなっています。

 当会では、昨年11月社会保障審議会医療保険部会でこの方針が出された直後から、医療現場の声を集約し、決して導入しないよう求めてきました。しかしながら、政府はそうした声を蔑ろにしたばかりか、逆に、セルフメディケーションの推進や市販品類似薬の保険給付外しなど、今回の薬剤自己負担見直しを足掛かりとして、保険給付範囲を縮小する動きを強めています。こうした状況は認められるものではなく、下記の事項について、緊急に要請致します。

  一、長期収載医薬品の選定療養費化(保険給付外し)は即時撤回すること。

以上