2024年度診療報酬「実質マイナス改定」に抗議する理事会声明

 当会では、12月20日、2024年診療報酬の実質マイナス改定合意に抗議する「理事会声明」を発表しました。

2024年度診療報酬の実質マイナス改定合意に抗議する

 12月20日、鈴木俊一財務大臣と武見敬三厚生労働大臣の大臣折衝により、2024年4月診療報酬改定率は全体でマイナス0.12%として合意された。当会では、すべての医療機関を守るためには診療報酬を大幅に引き上げる以外ないとして、関係閣僚はじめ国会議員に会員要請署名を提出するなど全力で取り組んできただけに、今回の決定には抗議せざるを得ない。
 改定率は、各科の引き上げ分0.46%、看護職員など医療従事者の賃上げ対応分0.61%、入院時の食費基準額の引き上げ分0.06%のプラスとしたが、効率化・適正化分0.25%のマイナスで、差し引き診療報酬本体は0.88%引き上げとなった。一方、薬価・材料価格は1.0%の引き下げとされたため、全体として6回連続の実質のマイナス改定である。岸田政権の重要課題である賃上げに対応して一定の財源が確保されたものの、マイナスとした効率化・適正化により捻出する財源は、診療所の報酬単価の引き下げによるものが見込まれており、この間作為的なデータで世論操作し、診療所を狙い撃ちしてきた財務省の意向が色濃く反映された。すでに中医協では支払側から、外来管理加算の廃止や特定疾患療養管理料の要件見直し、リフィル処方箋の推進など、外来医療に対する問題提起が執拗に行われており、この動きと呼応していると言える。また、「薬価等の引き下げ分は本体に振り替えて改定財源を捻出する」とした中医協での合意は、2014年4月改定より完全に反故とされ、財務省が無きものにしようとしている動きは許しがたい。
 したがって、当会としては、今回の合意内容は到底認められるものではない。言うまでもなく、診療報酬は医療の質と安全を担保し、医療経営の安定を保障する。その結果、国民医療の水準が向上し、医療提供体制が充実するのであって、病院と診療所の「分断」をあおりながら、「財政中立」を貫く施策では、患者が安心して医療が受けられる環境作りは不可能である。当会では、診療報酬全体での大幅引き上げが不可欠であることを改めて訴えるものである。


 2023年12月20日
山口県保険医協会理事会