診療報酬の引き上げと患者負担軽減を求める決議

保団連中国ブロック協議会は、4月29日、第1回ブロック会議において、下記の「決議」を採択しました。


診療報酬の引き上げと患者負担軽減を求める決議

2022年4月29日
全国保険医団体連合会中国ブロック協議会
鳥取県保険医協会 島根県保険医協会
岡山県保険医協会 広島県保険医協会
山口県保険医協会

 
2年半近くに及ぶ新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)への対応に、多くの医療機関は疲弊している。そのもとで行われた今次診療報酬改定は、新型コロナ前の医療水準への回復を目指し、地域医療を守っていく上でも極めて重要なものであった。にもかかわらず、社会保障費の抑制を掲げた「骨太方針」にもとづき、1600億円にもなる薬価の引き下げによって、総額で0.94%のマイナスとなった。新型コロナに見舞われる直前の前回改定も0.46%引き下げであったが、その2倍を超える大幅マイナス改定に医療の現場から強い抗議の声が上がったのも当然のことである。
医科では、初・再診料、入院基本料などの基本診療料は全く引き上げられなかったばかりか、機能強化加算の厳格化、外来感染対策向上加算や電子的保健医療情報活用加算の新設など加算点数による露骨な政策誘導が目立っている。また、「オンライン初診」の解禁、「リフィル処方箋」の導入など、医療費抑制を目的とした改定によって医療の質的低下、患者の健康悪化も危惧される。一方、歯科においては初、再診料の引き上げはあったものの、新興感染症への対応が新たな要件とされ、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準の強化によって、歯科診療所間の機能分化をさらに明確に打ち出した。歯科医院経営に打撃を与えている金銀パラジウム合金「逆ザヤ」も随時改定の見直しはあったが、抜本的な改善につながっていないのが現状である。わずか90億円に過ぎない改定財源のもと、財政中立による点数の付け替えによる改定では、全く不十分な内容と言わざるを得ない。
診療報酬は、医療の質と安全を規定するとともに、医療従事者の確保や待遇改善など医療機関の原資を保障するものである。この視点を欠如させたまま新型コロナで露呈した医療の脆弱性を顧みることなく行われた今次改定は、さらなる医療崩壊へと導きかねず、根底にある医療費抑制策による国民への影響は計り知れない。長引く新型コロナのもとで国民生活は困窮を極め、医療や介護の受診、利用手控えで高齢者の健康悪化も懸念されている。その中にあって高齢者医療費窓口負担を「2倍化」すれば、更なる受診抑制を引き起こし、新型コロナによる重症化リスクが高まる高齢者のいのちをいっそう脅かすこととなる。
私たちは、国民のいのちと健康を守る医師・歯科医師の団体として、診療報酬の引き上げとともに、患者負担増の中止と患者負担の軽減を求め、下記の通り決議する。

一、疲弊した医療提供体制を立て直し、地域で患者に寄り添った医療が提供できるよう、基本診療料を中心に診療報酬を大幅に引き上げること。
一、「75歳以上の窓口負担2割化」をはじめとする患者負担増の計画は中止し、患者窓口負担を軽減すること。

以上