第29回代議員会・第51回定期総会を開催

 2022年8月11日、当会では、第29回代議員会・第51回定期総会を開催しました。当日は、今期の活動方針等を決めるとともに、下記の「決議」が採択されました。また、保険医協会設立50周年を記念してのロゴマークが披露されました。
総会終了後には、記念講演会を行いました(会員専用ページで閲覧できます)。


【保険医協会ロゴマークのコンセプト】
設立50 周年に際して、先進的で未来感を出したロゴを作成しました。
ロゴのモチーフは、山口県の頭文字である「Y」をモチーフにしており、地球をイメージした○(まる)をベースに人と人が共に寄り添い助け合うようにYという文字を形成しています。
単色でもデザインが損なわれることがなく、一目見て脳裏に印象付けられるようなデザインに致しました。


決 議

 新型コロナウイルスは、2022年の年明けからその変異種であるオミクロン株が猛威をふるい、第6波を引き起こした。医療現場を疲弊させ、国民生活にも大きな影響を及ぼしている新型コロナ禍において、その現状を顧みることなく、2022年4月診療報酬改定はまたしてもマイナスとされ、10月からは後期高齢者の医療費窓口負担の2割化が予定されている。
こうした国民生活を直撃する施策は、安倍内閣以降政府が掲げ続けている「財政健全化」計画にもとづくもので、「財政悪化」の最大の要因が社会保障にあるとして、社会保障費抑制策の徹底が図られてきた。「骨太方針2022」(6月に閣議決定)では、成長戦略を中心とした「アベノミクス」の堅持を謳い、そのためには持続可能な経済財政運営が必要だとして、医療提供体制の効率化や実効性のある医療費適正化計画の策定を盛り込んだ。新型コロナ対応で露呈した医療提供体制の脆弱性は、医療をはじめとした社会保障費抑制策に起因していることは明らかであるにもかかわらず、「受益と負担の不均衡の是正」と称して「あらゆる世代の負担増」につながる全世代型社会保障の実現を目指している。
「アベノミクス」による新自由主義の推進は、公的部門を縮小する一方で大企業や富裕層を優遇するための施策を特徴としている。社会保障費抑制策はその典型とも言えるもので、「新自由主義からの脱却」を掲げた岸田内閣がその路線を継承しようとしていることは大いに問題であり、物価高騰による国民生活ひっ迫のもとにあって、その政策転換がいっそう求められている。私たちは国民のいのちと健康を守る医師、歯科医師の団体として、国民の基本的権利である社会保障制度を充実、発展させていくために、以下の通り決議する。

1.75歳以上の医療費窓口負担2割化の10月実施は中止し、医療や介護における費用負担の軽減を図ること。
2.新型コロナウイルス感染の収束に向け、国の責任で検査体制や保健所機能の充実を図り、医療機関への積極的支援を進めること。また、新型コロナ対策を口実に医療費抑制を念頭においた医療提供体制の再編を行わないこと。
3.政策誘導のための診療報酬改定ではなく、国民医療の充実と医院経営の改善につながるよう、基本診療料を中心に点数を引き上げるとともに、2022年改定の不合理は早急に是正すること。
4.保険でより良い歯科医療実現に向けて歯科医師の技術料を正当に評価すること。そのためにも歯科医療費の総枠を拡大すること。
5.マイナンバー制度への国民的理解の得られないもとでの強引な「マイナンバーカードの保険証利用」はやめること。医療DXに当たっては、個人情報保護など国民の権利を擁護すること。
6.物価高騰が国民生活を直撃する中で喫緊の課題とも言える消費税減税を行うこと。また、医療機関における消費税「損税」解消に向けて「非課税実額還付制度」を実現すること。
7.県下のこども医療費助成事業改善の流れの中で、県においても自己負担の無料化、対象年齢の引き上げなど制度を改善するとともに、妊産婦への助成、補聴器助成制度の創設など地域医療の向上を図ること。
8.憲法25条を遵守し、権利としての社会保障制度の実現をめざすこと。

2022年8月11日 山口県保険医協会第51回定期総会