診療報酬の緊急大幅引き上げを要請
当会は5月21日、下記の内容で内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣に要請しました。
2025年5月21日
内閣総理大臣
石破 茂 様
山口県保険医協会
会長 阿部 政則
緊急に診療報酬の大幅引き上げを求める要請書
2024年度診療報酬改定後、医療機関が経営危機に瀕していることが明らかとなっています。当会が本年2月に実施した調査では、70.2%の医療機関が昨年1月と比べて収入が「下がった」と回答し、50.0%の医療機関が1割以上の減収、光熱費・材料費の高騰分や人件費を診療報酬改定で「補填できていない」と回答した医療機関は90%を超えています。厚労省推計による医療機関の経常利益率においても、病院、診療所ともに最頻値でマイナス圏内に落ち込む見通しとされています。「控除対象外消費税(損税)」の抜本的解決が行われない中、今次改定が実質マイナス改定であったことに加え、物価や人件費の高騰が影響し、病院では病床利用率が100%を超えても赤字となるなど、医療崩壊が目前に迫っています。
にもかかわらず、政府は、「医療施設等経営強化緊急支援事業」等の僅かな補助金による財政措置での場当たり的対応に終始しています。あろうことか、経営状況が厳しい医療機関に対して入院医療を継続してもらうことを目的として、1病床削減あたり約410万円の給付金支給を進めるなど、経営ひっ迫に乗じて減反政策と言える手法を繰り出しています。問題は20年にわたって引き下げられてきた診療報酬にあることは言うまでもなく、現状の物価高に診療報酬改定が全く追いていないばかりか、収益に見合わないため設備投資すらできません。そうした中にあって、地域医療存続のために80.7%の医療機関が賃上げを実施していますが(前述の当会調査結果)、限界寸前まで追い詰められていることは想像に難くなく、もはや待ったなしの状況です。
このような危機的状況を打開するためには、小手先の補助金でもなく、「療養の給付」とは何ら関係のない医療DX関連の加算点数やベースアップ評価料等に財源を投入するのでもなく、基本的診療行為にかかる診療報酬の大幅な引き上げを行うことです。当会では、改めて下記の事項を要請いたします。
記
一、初・再診料をはじめとした基本診療料を中心に、緊急に診療報酬の大幅引き上げを行うこと。
以上