改めてオンライン資格確認導入義務化及び健康保険証廃止の撤回を求める決議

保団連中国ブロック協議会では、3月21日の第1回ブロック会議で標記の決議を採択、政府関係機関に送付しました。


改めてオンライン資格確認導入義務化及び健康保険証廃止の撤回を求める決議

 政府は「オンライン資格確認(「オン資」)原則義務化」及び「保険証の廃止」を方針化し、期限を切って推進している(2023年4月及び2024年10月)。保険医療機関には療養担当規則の改定で「オン資」を、国民には保険証を廃止してマイナンバーカード(マイナカード)と一体化した保険証(マイナ保険証)へ切り替えることで、法的に任意とされているマイナカードの取得を実質的に義務付けた。国民に対して義務を課すのであれば、国民が納得できる議論や説明を行い、ルールに基づいて法的手続きを経ることが法治国家の「義務」と考える。国会審議を行うことなく、閣議決定や閣議決定すら行わない政府方針のみで強引に重大な変更を進めるのは、国民に不安や不満を与えるのみならず、手続きの瑕疵であると指摘せざるを得ない。
私たちは「義務」とされたことによって、それに対応できないことで、意に沿わない閉院・廃業に追い込まれてしまったり、対応できても予定外の支出を迫られ経営的に困難な状況に陥ってしまう医療機関が存在すること、そして何よりもそのことが地域医療の維持、継続に深刻な影響を与えかねないことを危惧している。患者・国民にとっては様々な理由によりマイナカードを取得できない場合に、医療が受けられないといった問題が生じうる。政府は、「オン資」に対しては「義務化」の「経過措置」を設け、マイナ保険証を持たない者に対しては、現行の健康保険証ではなく新たに「資格確認書」を発行するなどの対応を検討しているが、医療現場の実態や国民の利便性への配慮を欠くものと言わざるを得ない。そもそもマイナカードも「オン資」も希望する者が取得し、導入すればよいのであって、「義務」とすることの重大性を認識すべきだ。
政府が莫大な財源を使って強引にマイナカード政策を進める背景には、個人の情報を利活用し産業基盤とする狙いが見てとれる。さらに医療情報のデータベース化し、「標準的な医療サービス」として医療費抑制を強めようとする意図も伺える。
医師、歯科医師の多くは「『オン資』義務化・健康保険証廃止」に反対である(2022年11月:全国保険医団体連合会による実態調査)。そうした声を背景として、一人の閉院・廃業者も出さないよう「『オン資』義務化」の撤回を求める。そして、集積した個人情報の利活用を先行させるマイナカード推進策ではなく、国民皆保険制度という世界に冠たる医療制度の下、患者・国民の人権を守る仕組みを整備し、全ての国民が等しく医療が受けられるよう「健康保険証廃止」の撤回を強く求める。以上、2点を決議する。

 

2023年3月21日     全国保険医団体連合会中国ブロック協議会

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