私たちからの訴え

歯科技工問題の解決に向けて 「保険でより良い歯科」署名に取り組もう

 新型コロナウイルス感染症は、感染拡大から一年以上が経過しても収まる気配が見えておらず、「第4波」の広がりから「緊急事態宣言」が4都府県に出され、「まん延等防止重点措置」が発令された地域もある。そんなコロナ禍の中で、多人数が集まる活動は実施が困難となっており、協会や保団連の活動もまた、支部レベルの活動に至るまで、大きく制限されている。しかし、どのような状況にあっても、医療の現場で起こっている諸問題に対しては、現場の声を行政へ素早く届けなければ、なかなか解決・改善には至らない。
 協会では、「75歳以上の医療費窓口負担2割化」に反対する運動を行っている。反対を求める請願署名とともに実施した「クイズハガキ」は過去最高を大幅に上回る返信があり、「負担増反対」の世論は大きく盛り上がっている。全国各地でも同様だ。
 また、歯科では、長年歯科界を悩ませている歯科医師の技術料の低評価を改善する運動の一環として「歯科技工問題」に取り組んでいる。全国各地の歯科技工士学校の多くが入学者不足に陥り、閉校となる学校が増えてきており、中国地方でも、一昨年、鳥取県唯一の歯科技工士学校が新規入学者の募集停止に踏み切った。全国的にみると県内に歯科技工士学校が一校もない県は17もあり、事態は深刻だ。今のままでは近い将来、患者さんに大きな影響が出ることが予想される。他県では、すでに義歯の納品の遅れや、県外の技工所を利用せざるを得ないとの調査結果もある。
 しかし、前向きなニュースもある。山口県内唯一の歯科技工士学校である下関歯科技工専門学校は、最終的に定員に達しなかったものの、関係者の懸命な努力により、この春には近年では最多の入学者を迎えることができたということだ。
 現在、コロナ禍の影響で、小児科の収入減が著しいと問題になっている。実際、厚労省の統計でも、昨年7~9月以降の収入は対前年比で約7割との結果であり、相当に厳しい状況だ。しかし、コロナ禍前の2019年11月に発表された厚労省の医療経済実態調査をみると、歯科の医業収入・収支差額はともに小児科の5割以下となっている。診療所の形態も異なり単純比較はできないものの、歯科は通常時でも、非常に厳しい状況にあるといえる。保団連の歯科政策方針として打ち出しているように、歯科医師の技術料を引き上げ、歯科技工士にも十分な歯科技工料金が手渡るようにして、両者が成り立つようにすべきである。
 4月22日の歯科技工問題を考える全国懇談会には、与野党の国会議員や歯科技工学校関係者も含め多数の参加があった。コロナ禍によって協会活動は確かに制限されているが、逆に良い点もある。平日開催である為、前日から仕事を休んで上京する、ということが難しかった人も、オンライン開催となった今回は、仕事への影響を最小限に参加することが可能となった。そのことにより、歯科技工問題に直面する当事者である、各都道府県の歯科技工士学校長を含む教育関係者・歯科技工士会長を含む歯科技工士・歯科医師の3者が、全国より多数集まることができ、力を合わせてこの問題を解決して行こうという方向性を示すことができた。
 今後さらに運動を前進させていくには、国民の理解と後押しが不可欠である。保険医協会では5月より「保険でより良い歯科医療の実現を求める」署名に取り組む。患者・国民にとって重要な問題である、「患者負担の軽減」「保険適用範囲の拡大」も含め、「歯科医療費の総枠の拡大」を求める内容となっている。歯科医療従事者、そして国民にとってもよりよい歯科医療の実現に向け、ぜひとも会員各位のご協力をお願いしたい。

(2021年5月)