私たちからの訴え

新型コロナウイルス感染症の収束はいつ?

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、医療・社会保障の劣化・脆弱さを露呈し、国民生活の困窮や経済低迷に追い打ちをかけています。
 政府は、観光業などを救おうとGOTOキャンペーンを昨年始めましたが、このことも感染拡大の一助になったことは明白な事実です。また、第3次補正予算案でGOTOキャンペーン延長やデジタル化など不要不急の施策に巨費を計上する一方、持続化給付金・家賃支援給付金など事業継続支援を早々と打ち切っています。医療提供体制の強化策は経済対策と比べると微々たるものです。医療をまもり、安全な社会を創ることで歯科経済策は回復しないと思います。
 政府は1月7日に緊急事態宣言を発令しました。その後、新型コロナウイルス感染症の患者数は期待するほど減少せず、また医療提供体制の状況も厳しいものがあります。2月になってからも緊急事態宣言が続いているのは、当然のことと思われます。政府は3月初めには、緊急事態宣言を解除しようとしています。季節もよくなる3月中旬より4月にかけては人の移動も多くなることが予想されます。医療提供体制もまだまだ十分ではない状況下では、緊急事態宣言は3月末まで続けるべきだと考えます。
 新型コロナウイルス感染症の大きな特徴は、無症状者が感染を広げるということです。その点からも検査による感染者の「あぶり出し」が感染拡大を防ぐうえで重要であり、感染症対策にとって「検査体制の拡充」は不可欠でした。しかし政府は、緊急事態宣言によって「社会活動」を抑制する一方で、それに対する経済的補償を十分に行わなかったように、医療従事者や施設入所の高齢者等への定期的検査の実施には消極的でした。県内では、病院や介護施設で発生したクラスターによって、年明けから深刻な感染拡大に見舞われましたが、そうした事態を招いたのは、政府の消極姿勢が反映しているとも思われます。
 2月17日より新型コロナウイルスワクチン接種が始まりました。ワクチン接種は新型コロナウイルス感染収束に向けて大きな期待が寄せられています。政府は、医療従事者から先行して行い、4月には高齢者を皮切りに一般国民への接種を開始するとしていましたが、ワクチンの供給量が不十分なためかなりずれ込む見込みです。その一方で、当初は集団接種での対応が基本とされ、行政の責任による接種体制の確保が進められていましたが、全ての国民への接種を前提に地域の医療機関も含めた個別接種も提起されています。そうなると私たち開業医も接種体制に否が応でも組み込まれることになります。初めてのワクチンですから、接種の際には格段の慎重さが求められることはいうまでもなく、副反応への対応のための設備やスタッフの体制、補償の問題など心配事は尽きません。しかし、現状では個別接種に対する明確なガイドラインは示されておらず、現場の受け止めは様々です。ワクチン接種に協力していくためにも、そうした不安要素は取り除かれる必要があります。ワクチン接種でコロナ流行がすぐになくなるわけではありませんが、多くの人がワクチンを打たなければ感染の流行は押さえられません。ワクチン接種が広くすみやかに行われるためにも、政府としての責任ある対応が望まれます。
 期待されるワクチン効果があったとしても、収束には来年春までかかると言われています。私たちは、ワクチン接種に協力しながら、日々の治療に勤しむことが肝要と思います。

(2021年3月)