私たちからの訴え

介護崩壊を防げ

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。
 GOTOトラベルやGOTOイート、海外からのビジネス入国緩和など、人の流れを増やす経済重視政策をとれば、冬期の影響も重なって感染が拡大するのは至極当然の結果と言えるでしょう。
 連日のように過去最多の感染者数や重症者数が報道されている中、本年1月8日に首都圏中心に緊急事態宣言が発出されました。しかし、昨年4月に発出された1度目の緊急事態宣言時と比して緩い制限となっているため感染拡大を押さえ込むのに十分な効果は現れておらず、対象地域を広げる事態となっています。
 国民には大人数での会食を制限していながら政治家自らが多人数で会食をするなど、まるで危機感が感じられず、首相の宣言時の会見からも全力で感染を抑え込む覚悟が全く見えてきません。これではいくら国民に自粛を訴えたところで実効力が上がるはずはありません。
 さて、今春には3年に1度の介護報酬改定が行われます。介護事業所実態調査による2019年度の収支差率は前年度の3・1%から2・4%へと中小企業と同程度に悪化しています。
 2020年の介護事業所の倒産件数は前年比6・3%増の118件となっており、サービス利用控え等による売り上げの不振が倒産理由の最多となっています。また、2020年1月から10月で自主的に休業・廃業した介護事業所は406件と、過去最多だった18年を超えるペースで推移し、年間600件ほどになると推測されています。今後コロナ禍が長期化すれば収支差率は更に悪化し、倒産件数や休廃業の増加は避けられない状況です。このような背景から、審議当初はマイナス改定が示唆されていましたが、結局0・7%の微増改定に落ち着きました。しかし、ただでさえ人材確保や感染対策のコストが増大している現状において、わずか0・7%増では、「感染拡大防止等支援金」等の補助があっても、介護事業所の苦しい経営状態を改善させるには不十分と言わざるを得ません。
 今回の改定では、感染症・災害への対策義務化やICT活用の推進、介護職員処遇改善の見直し等が改定項目となっていますが、なかでも利用者ごとにCHASE(高齢者のADL、栄養、口腔・嚥下、認知症)情報を収集・活用することでケアの質向上につなげる取り組みを評価する加算の新設は、介護事業所の差別化や淘汰を推し進める2024年の次期改定に向けた試金石となりそうです。
 新型コロナ感染拡大による入院病床数の逼迫から「医療崩壊」という言葉がしきりに叫ばれています。コロナ診療のため交通事故に遭った小学生の救急対応ができず、結果、救命できなかったとのニュースは崩壊の予兆とも言えるでしょう。今後、新型コロナ感染が現在の病床数でコントロールできなければ、民間の医療機関もコロナ診療にあたらないといけなくなります。一般の高齢患者さんは入院を制限されるため、在宅や施設での医療・介護ニーズはますます増えてくると思われます。増加するニーズに応えるには、介護事業者の倒産を防ぐ、安定した介護サービスを提供する施策が必要です。コロナ禍が続けば「医療崩壊」の次に「介護崩解」が来ることは想像に難くありません。「介護崩壊」を防ぐため、介護事業所の淘汰を進める現状の政策は直ちに改めるよう切に希望します。

(2020年2月)