私たちからの訴え

マイナンバーと口座との紐づけを可能とする議員立法に抗議する

2020 年6 月24 日

「特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等
の作成等に関する法律案」議案提出議員ならびに賛成議員 各位

山口県保険医協会
税経部部長 林田 英嗣

マイナンバーと口座との紐づけを可能とする議員立法に抗議する

  5 月19 日、自由民主党マイナンバーPT は「マイナンバー制度等の活用方策についての提言」をまとめた。特別定額給付金の支給手続きで活用できなかったマイナンバー制度を、コロナ感染症対策の不手際に乗じて、マイナンバー制度の利用範囲拡大を要請する内容となっている。
 今回の特別定額給付金のオンライン申請をめぐるトラブルは、マイナンバーカードが普及していない状況下で、自治体の準備不足等の実態を踏まえない政府が、オンライン申請を推奨した結果であり、多くの住民が外出自粛、事業自粛のなか窓口に押し寄せた結果、「三密状態」になるなど自治体の窓口事務が混乱した。
 提言では、本人同意を前提としてマイナポータルに1 人1 つ、給付金等の振込口座をマイナンバー付きで登録・管理することとしているが、マイナポータルで口座を管理しても迅速かつきめ細かな給付の実現には至らないうえ、同一世帯、同一居住者等を対象とする制度には対応できない、乳児・小児などの口座を持てない者等への対応などの欠点も指摘されている。
 さらに、将来的に全ての金融機関口座との紐づけまで可能とするよう、議員立法「緊急時給付迅速化法」( 仮称)の制定をめざすとしており、国による国民の個人情報を一元管理する意図があることは明白である。
 マイナンバーは、その連結する個人情報の量、機微性により、不要な収集の禁止や、重い罰則付きの厳重な管理が法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)として求められている。しかし、マイナンバーカードの取得率の低さから、カードの普及を第一義として、「マイナンバーが漏れても悪用されない」、「マイナンバーカードを持ち歩いても大丈夫」等、政府自身が相反する宣伝を行うなど混迷している。さらに、今後予定されているマイナポイントを利用した電子マネー還元キャンペーンなどは、本来の目的である「税と社会保障、災害時等」で活用する制度とは大きく外れた拡充として問題である。
 先の就職情報サイト「リクナビ」による「プライバシーの不正利用事件」が明確に表しているように、マイナンバーを含めた個人情報を商品として扱うことは、際限のない利益主導に行き着き、個人の人権やプライバシーが脆弱に扱われることが、国民の不信感を招く事態となっている。
 以上の状況を踏まえれば、新型コロナウイルス感染症の第2波、3波が懸念されている状況の中で、混乱に乗じて個人の資産を国が把握、管理することが可能となる「マイナンバーと口座との紐づけを可能とする議員立法」は、到底認められるものではない。