私たちからの訴え

”ウィズコロナ” ”アフターコロナ”

 2019年12月末、中国湖北省武漢市で原因不明の肺炎が発生。2020年1月には新型コロナウイルスによるものであることが判明した。WHOは同年2月、このウイルスの正式名称をSARS-CoV-2、これによって引き起こされる感染症をCOVID-19 と定めた。
 当初、どこか対岸の火事のような感覚であったが、2020年1月16日国内一例目の発症の後、クルーズ船感染、各種クラスター、市中感染の拡大と共に、翻弄された1年であった。
 この間の日本政府の対応には多くの批判がなされた。未知のウイルス感染症であり、どう対応するのが正解なのか誰も完璧な答えを持たない以上、場当たり的な対応や朝令暮改的な対応も致し方ない面もあった。日本の取った対策が果たして正しかったのか、誰にも正解が判らない以上、100点満点もなければ0点もない。
 究極の感染対策は非接触(誰とも交わらない)であろうが、社会生活をする上では不可能である。社会経済活動と感染対策のバランスを取っていくしかない。
 様々な分野に大きな負担を掛けているとはいえ、今の所、日本は欧米に比べればロックダウンや大きな私権制限する事なく感染者数・死亡者数を抑えている。
 ファクターXと呼ばれているような因子(過去の類似ウイルスによる免疫の記憶や、BCGによる自然免疫の強化、遺伝子要因等)の影響も考えられるが、日本人の生活習慣(普段からマスク・手洗いをする習慣がある。ハグや握手をしない。屋内で靴を脱ぐ等)と、良くも悪くも同調圧力が強く、規律正しい国民性が好を奏していると思われる。
 コロナ感染対策の影響でインフルエンザを始め他の感染症の発生も抑えられた結果、脳血管疾患や心疾患による死亡数も減少し、超過死亡(感染症流行の影響を測るのに使われる統計指標)も世界最少とのこと。受診抑制から心配された癌の進行による死亡率上昇も統計上は認められない。公衆衛生学(医療統計学)上は、日本のコロナ対策は良かったとのことである。
 ただ、経済的なダメージや社会生活への影響は甚大である。
 ワクチン接種も始まりわずかな光が見えてきたが、ワクチンの効果が表れたり治療薬が開発され、新型コロナがインフルエンザ並みの感染症になるまでは〝ウィズコロナ〟として、ニューノーマル(マスク・手洗い・ソーシャルディスタンス)の生活をするしかない。
 威勢よく(?)〝ゼロコロナ〟を訴える向きもあるが、根絶できる感染症の3条件(①感染すれば必ず診断でき、肉眼的に明瞭な症状が必ず現れる。②原因の病原体の自然宿主はヒトに限られる。③効果的なワクチンが存在する)に照らしてみて、この新型コロナウイルスが、①無症状な患者が多い上、症状がなくても感染力がある、②宿主はヒトだけではない(コウモリ等)、ことから根絶は不可能である。
 今しばらく〝ウィズコロナ〟に耐え、14世紀のペスト大流行後にルネッサンスが起きたように、パンデミックという悲劇が社会を進歩させるきっかけとなり、〝アフターコロナ〟で、未来を切り開くような新しいイノベーションが起きることを期待する。

(2021年4月)