私たちからの訴え

「オンライン初診」原則解禁の合意に対する抗議声明を発表

「オンライン初診」原則解禁の合意に対する抗議声明

 10月9日、田村憲久厚生労働大臣、河野太郎行政改革担当相、平井卓也デジタル改革担当相による3者協議において、オンライン診療については初診を含め原則解禁することで合意したことが発表された。新型コロナウイルス感染症禍に乗じて、なし崩し的に「オンライン初診」を恒久化するものであり、強く抗議する。
 過去に受診歴のない患者に対する「オンライン初診」は、現状、「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的、特例的な取扱い」(4月10日事務連絡)において認められているが、ここに至ったのは、デジタル化への集中投資として医療のマーケット化を画策する規制改革推進会議からの強い提言があったことに尽きる。その結果、初診からの麻薬や向精神薬の処方、医療機関の所在地から大きく離れた地域の患者に対する診療などの不適切な事例も認められたことは厚生労働省も承知のはずである。厚生労働省や医療関係者の反対を押し切って無理やり導入した弊害が出ており、今後、安全性と信頼性をベースに解禁していくと言っても、その担保はどこにもない。また、電話による診療は認めず、映像での診療を原則とすることも示されているが、実際に視触診等を行えずに誤診が起きた場合の責任、なりすまし受診や一部負担金の徴収への対応など、現場で起こり得る問題は多岐に渡る。
 全国保険医団体連合会中国ブロック協議会が本年7月に行ったアンケート結果においては、「オンライン診療の拡大」の動きについて「反対」との意見が6割にも上り、とくに「オンライン初診」に反対する明確な意思が示された。このことは、画面等を通じたオンライン診療はあくまでも対面診療の補完に過ぎず、問診だけでなく、視診、触診、聴診、打診を行う対面診療こそが医療であることを指し示すものである。現在、利便性の向上のために行政サービスを含めたオンライン化の流れが強まっているが、そのこととオンライン診療を同じ視点で扱うことは、到底認められるものではない。現場の意見を顧みないばかりか、患者のニーズがあるなどと口実を並べ、閣僚の判断だけで勝手に推し進めることは許されるものではない。
 当会としては、今回の3者合意には断固反対する。その上で、新型コロナウイルス感染症収束後には、特例的・時限的な取扱いを速やかに廃止するよう求めるものである。

2020年10月20日 山口県保険医協会理事会