子ども医療費助成制度、各地で拡大

県内各市町では3月議会が開催され、2018年度予算が審議されています。そうした中、子ども医療費助成制度の拡充(改善)を行う自治体が出てきました。全国的には義務教育就学児への助成が一般的になりつつあり、20歳未満を対象とする自治体も出るなど、子ども医療費助成制度の改善は大きく進んでいます。2018年度から対象年齢が拡大するのは、萩市と美祢市で、萩市では高校卒業まで、美祢市は中学校卒業までが助成の対象となります。また、宇部市では所得制限を廃止、山口市も小学校3年生までは所得制限を廃止するなど、県内すべての市町が県の制度に大きく上乗せをして、子育て支援策の充実を図っています。
一方で、山口県はどうなのかが問われています。乳幼児医療助成制度など福祉医療費助成制度は市町との共同事業ですが、2009年8月に県が一部負担を導入したため、市町ではそれに係る予算を肩代わりして、負担なしの医療費助成制度を維持してきました。県は厳しい財政事情を理由に、「持続可能な制度」とする上で必要な措置(有料化)だったと主張しますが、市町は県と同様かそれ以上に厳しい財政事情にあっても、医療費助成を求める住民の切実な声に応えています。毎年のように行われている市長会からの「無料化復活要求」に対しても、県は未だに応じていないのが現状です。
そればかりか、県は2018年度予算において、健康福祉部関連予算を34億円削減、福祉医療費助成事業については3500万円の削減を行っています。中でも乳幼児医療費助成は1700万円の減であり、3つの助成制度の中で最大の削減額となっています。厳しいもとでも独自財源をつぎ込んで制度の改善を実現している市町とは対照的な対応であり、県の姿勢は大いに問題があると言えます。保険医協会では、県社会保障推進協議会と協力して、毎年、県に対して福祉医療費助成制度を元の無料に戻すことを訴え続けてきましたが、県内市町の状況を踏まえてさらに強く求めていくことが重要となっています。

(詳しくは、会報3月号参照)