私たちからの訴え

消費税10%への引き上げを中止させよう

 12月14日に、自民・公明両党の合意のもと、2019年度税制改正大綱が了承されました。医療機関に係る「損税」については、「診療報酬の配点方法を見直していく」としています。これは、診療報酬への補填のみで対応するということです。保険医協会は「損税」解消に向けた運動を続けてきましたが、このまま消費税が10%に引き上げられると、医療機関にとっては良いことはまったくありません。
 私たちは、「損税」の抜本的解決のため、「非課税実額還付制度」の実現を求めてきました。医療界の統一した要求だとされた「三師会・四病協による『提言』」も方向性としては一致していたと思っていましたが、いざ蓋を開けてみると従来通りの「診療報酬による補填」でした。厚労省では「配点方法の精緻化」を強調していますが、あくまで医療機関別のシミュレーションに基づくもので、個別の医療機関に発生している「損税」の完全な補填は無理であることは言うまでもありません。今回の対応により「消費税問題は解決された」とする日医の見解に対して、病院団体からは一様に「補填方式の限界」の声が出ていることからも明らかです。
 消費税10%への引き上げに伴う問題は、これだけではありません。前回2014年4月の消費税率8%への引き上げの際は、個人消費が大きく落ち込みました。安倍首相は、今回の消費税10%への引き上げに伴う景気対策として、「経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる対策を総動員」して対策をとるとしています。しかし、検討されているのは、ポイント還元やプレミアム商品券、住宅や自動車の購買を後押しする減税や補助金等で、野党からは「そもそも消費税を上げなければいい」などの批判が噴出しています。JNNの12月定例世論調査でも、消費税10%引き上げに「賛成」は39%、「反対」は52%です。10%引き上げ時の景気対策として、クレジットカードなどで買い物をした場合に、増税分2%を超える5%をポイントで還元することについても、賛成27%、反対60%です。
 さらに大きな問題は、10%とセットで導入される「インボイス制度」です。インボイスとは複数の税率を取引ごとに区分した請求書のことで、食料品等への軽減税率(8%)が設けられたために発行が求められ、仕入れ税額を控除する上で必要となってきます。しかし、このインボイスは課税業者しか発行できません。現在、多くの中小業者は課税売上が1000万円以下であることから免税業者となっていますが、これらの免税業者はインボイスが発行できず取引から排除されてしまう可能性が出てきます。取引に参加するには、課税業者となってインボイスを発行するか、消費税分の値引きをするかの選択を迫られるという大きな問題が出てきます。これは医療機関においても例外ではありません。自由診療が1000万円以下であれば、免税業者として消費税を支払っていませんが、例えば、企業健診を請け負っている場合に、企業側はインボイスを求めてきますから、健診を継続するためには課税業者となる必要が出てきます。「命に課税しない」との理念のもとで医療を担っている医療機関が、課税業者として否が応でも消費税実務に追われてしまう現実は、何としても避けなければなりません。
 これらは、消費税増税が中止されれば起きることはありません。東京オリンピックの開催を前にした景気の後退を危惧してか、今回の消費税増税については政府自身も揺れています。経済界からも異論が出ており、今は増税の時期ではないということが国民の間に広がれば、消費税増税の中止は可能です。幸運なことに、今年は4年に1回の統一地方選挙と、3年に1回の参議院選挙が重なる選挙の年です。政治は選挙で動きます。消費税だけが選挙の争点ではありませんが、今年の選挙を利用すべきではないでしょうか。消費税増税が招く様々な問題を広く国民に訴え、「消費税10%ストップ」を国民的世論にしていきましょう。

(2019年2月5日)