私たちからの訴え

来たる参議院選挙にあたって

 7月は任期満了に伴う第25回参議院議員通常選挙が実施される。このフレーズも聞き飽きたとは思うが、「令和」最初の国政選挙となる。今回は、合区された比較的与党保守層が強いと考えられる「徳島・高知」、「島根・鳥取」各選挙区の現職救済措置としか思えない「特定枠」が導入されて初の選挙であることや、被選挙権が30歳なので平成生まれの参議院議員の誕生する可能性があることなど、地味にトピックを含んでいる選挙でもある。
 さて、消費税が5%から増税された経緯を、会員の先生方は覚えておられることであろう。安倍政権が国民に説明していた理由は、「全額社会保障の安定に使う」であったが、実際はどうであろうか。出所によってデータは異なるが、某参議院議員の事務所が内閣官房に問い合わせた結果によると、増税分のうち社会保障の充実に使われたのはわずかに16%、残りの84%は使途不明となっている。1月28日の施政方針演説の中で安倍首相は、「増税分の5分の4を借金返済に充てていた」と明らかにした。その一方で大企業のための法人税の減税を行っている。借金返済のための財源捻出のために増税するのならそれも仕方ないが、それなら法人税も増税、百歩譲って据え置きすべきで、法人税は減税とは矛盾も甚だしい。公約違反ではないのか。かくして大企業は史上最高の内部留保を貯め込み、役員報酬も上昇している。税の目的の一つとして「所得の再分配」があるが、消費税の逆累進性も相まって、これでは所得の再分配どころか低所得者から高所得者への富の移転ではなかろうか。証券取引の優遇税制にしてもしかり。低所得者はそもそも貯蓄もないし、ましてや投資に使える余裕資金も無いのだ。金持ちがさらに金持ちになるのが今の日本の税制である。
 財務省を筆頭に財政危機キャンペーンを張っているのだが、その一方で先日のトランプアメリカ大統領の訪日に際しては、安倍首相はF―35戦闘機105機の購入を手みやげに持たせた。総額1兆円を超えるとも言われている。4月に訓練中に墜落事故を起こし、6月になってもに事故原因は断定できなかった機体である。国民の社会保障には支出を抑える一方で、アメリカに対しては大盤振る舞い。国民の側を向いた国費の使い方とは思えない。
 そして金融庁の金融審議会の先日の報告書である。これによると、平均的な高齢夫婦世帯の場合、毎月の支出が公的年金収入を約5万円上回るとし、今後30年生きるとすれば2000万円不足するとの試算だ。厚労省も5月末に投資による資産運用を促す改革案を発表し、貯蓄から投資への流れを呼びかけている。医療・介護だけでなく健常な高齢者まで「公助から自助」への強調である。平成28年の年金改革法成立は、「持続可能な年金制度を再構築する」のではなかったのか。それが3年も経たないうちに「年金だけでは老後の生活はまるで足りませんよ、暮らせませんよ。投資で増やしましょう」と言うのは、事実上の年金破綻宣言では無いのか。バブル経済崩壊後、派遣社員など非正規雇用を強いられた就職氷河異世代への就職支援を今後行うことが「骨太の方針2019」で示されたが、今から年金支給年齢の65歳までに2000万の貯蓄などどう考えても無理がある。
 次の選挙の投票行動によっては、この「公助から自助へ」の流れは一層加速するに違いない。会員の先生方には、「それで良いのか」、しっかり考えて、参議院議員選挙に臨んで頂きたい。国政のお金の使い方という視点は非常に重要であり、その点について、さらに周囲の方々にも一考を促してもらえればと思う。

(2019年7月)