私たちからの訴え

地方の中小零細歯科医院の現状

 5月に当会歯科部会による会員アンケート調査が行われた。その中で設問5の「自院の具体的数値を把握しておられますか」という項目があった。当院では平成25年を境に、26年は前年比の93・2%、27年は前年比の90・9%、28年は前年比の93・2%と前年度より毎年収入減となっており、28年度の収入は、25年度に比べ21%の減収となっている。25年以前は前年度に比べて増えたり減ったりの繰り返しだったが、徐々に減収してきている。さかのぼってみると、過去最高であった時の収入に比べ、昨年度は53%と約半分となっており、危機的経営状況になっている。ビルのテナント料は別として、従業員を雇っていないので給料が不要であることや、現在、歯科技工料の「7:3」問題を歯科部会で討議しているが、当院では義歯などで可能なものについては自身で製作しており、なるべく経費削減を図ることでやりくりしている状況で、そのうち経営不振で閉院が待ち構えている。

 考えられる原因は、当院の周りに新規開業された歯科医院の増加と、高齢化による患者の減少である。山口県は高齢化率が全国4番目であり、当方の年齢とともに患者も高齢化し、当会の会員減の要因と同様に逝去や、また、介護福祉施設への入居などにより周囲の人口減が進んでいる。6月22日の朝日新聞の報道によると、住家全体に空き家が占める割合は山口県は16・2%で、全国平均の13%を上回っており、47都道府県中12位で、中国地方では最も高いとのことであった。当院の周辺でも空き家になり、今にも倒壊しそうな家が、知る限りでも3件あり、取り壊されて駐車場になるなど、かなりの人口減となっている。また、商店街の衰退による空家店舗の増加などで、駐車場の無い当院としては、近隣の患者減は医院の経営状況悪化の大きな要因となっている。

 会員アンケート調査の別の設問には「か強診(かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所)」についての項目があった(山口県では約15%が「か強診」の施設基準を届け出ている)。「か強診」を届け出るには、歯科医師が複数名配置されていること、または、歯科医師・歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置されていること(ただし歯科医師・歯科衛生士ともに常勤・非常勤を問わないが研修を受けた歯科医師がいること)、AED、パルスオキシメーター、救急蘇生セットなどの装置・器具を有していることなどの施設基準があり、これを届け出ないとエナメル質初期う蝕管理加算(+260点)などの加算点数が算定できない。歯科外来診療環境体制加算(初診料+25点、再診料+5点)も同じく、高額の設備投資が必要な施設基準が設けられており、当院のように歯科衛生士も雇用せず、1人で診療している歯科医院においては有名無実の加算点数である。このようにハードルが高い施設基準は廃止し、基本診療料の引き上げや、もしくはもう少し基準を緩めて、多くの歯科医院が加算点数を算定できるようにして欲しいものである。

 ただでさえ低点数に抑えられている歯科において、多数の従業員を抱えておられる先生や、開業時の借入金を抱えておられる先生はさらに大変だと思われる。来年度の診療報酬改定で、現状の低点数が少しでも良くなり、少しでも経営が持ち直すよう希望する。