私たちからの訴え

保険医と患者、国民にとって幸せな医療を築くために

 1981年臨調行革路線、1983年医療費亡国論から、医療費抑制政策が始まった。この医療費抑制政策による犠牲は、保険医のみならず患者、国民に及ぶため、政府に対する共通の利害関係は双方に生まれることになり、保険医協会が目指す保険医の生活と権利を守る要求は、そのまま患者、国民のためになる政策を政府に求めるものとして、医師と患者、国民にとっての利益となる。つまり、医療費抑制政策を転換させるという運動は、歴史的背景から必然的に発生したものである。この原点に確信を持てば、診療報酬の引き上げと患者負担の軽減を求める会員署名は、賢明なる取り組みである。診療報酬改定率について、「診療報酬が上がれば患者負担が増える」「医師の技術料はプラスか」などという、医師対患者の対立構造を生むような報道は論外であり、また、社会保障費抑制を目指す政府方針のもと、実質マイナス改定が続く軌道を修正させるために、我々が診療報酬のプラス改定を強く求めることは、保険医運動の根本的要求である。
 2018年4月は、診療報酬と介護報酬との同時改定であり、政府は、2025年に向けた最後の同時改定として、医療、介護提供体制の再編も含めたルートから、相当な政策誘導を準備していることが伺える。例えば、地域医療構想の実現に向けては、一般病棟入院基本料(「7対1」と「10対1」)の新評価体系や、療養病床廃止と介護医療院の創設、があり、地域包括ケアシステム構築の推進としては、かかりつけ医機能の強化、医療、介護職の多職種連携等が示され、また、医療の市場化ルートからは、ICTの活用として、遠隔診療の導入、診療報酬の事務効率化、など、様々な提案が出されている。これらの具体的内容は、改定率を踏まえて以後、1月初旬に諮問、1月末~2月初旬に個別改定項目、2月初旬に答申、3月初旬に告示・通知発出、4月実施、という流れとなる。例年、現場にそぐわない内容によって混乱を来すため、医療を提供する側と受ける側が一緒になって改善を進めていくことが、今後の重要な課題となってくる。技術的な面で言えば、あまりにタイトなスケジュールのため、厚生労働省から解釈に困難を伴う内容が発出されることが多く、現場が余裕を持って対応できるよう改めてもらわなければならない。
 一方、患者負担増計画については、かかりつけ医普及に名を借りた受診時定額追加負担の導入、市販品類似薬の保険外しとセルフメディケーションとの連動、先発医薬品と後発医薬品の差額の患者負担(参照価格制度)の導入、75歳以上の患者窓口負担の倍化、マイナンバーを活用した金融資産等の保有状況を加味した負担の在り方、など、絶句するような内容が「改革工程表」に示されており、今後も議論が展開されていく予定である。このようなことが仮に実施されれば、日本の国民皆保険制度は形ばかりのものとなり、実質的には崩壊してしまう。政府は、財源不足を理由に、制度の持続性を強調する一方で、パナマ文書やパラダイス文書に代表される大企業・超富裕層によるタックスヘイブン、大企業の内部留保が拡大している実態などが明らかになる中でも、「所得の再分配」による税制の在り方をきちんと審議していないことは甚だ疑問であり、あるべき財源の使途を追究するよう訴えていく必要もある。
 最後に、前述のとおり、来年度は診療報酬と介護報酬の同時改定であり、内容によっては大きな変動が起こり得ることも予測される。当会では、3月下旬に「医科・歯科点数検討会」を開催する。請求内容のみならず、そこに含まれる政策的問題点を明らかにし、保険医と患者、国民にとって、幸せな医療が築けるよう改善運動につなげていきたいと考えている。会員各位には、ぜひご参加頂きたい。