私たちからの訴え

マイナンバーカードの更なる利活用拡大に反対

 2016年1月のマイナンバー制度開始から2年余りが経過したが、マイナンバーカードの交付枚数率は2018年3月1日現在、対人口比10・7%で、ようやく1割を超えた状況である。マイナンバーカードの利便性や必要性があまり感じられないことや個人情報漏洩の危険性に対する警戒感を反映しているものと思われる。実際、行政側のメリットに比べて国民側のメリットははるかに小さい。
 マイナンバー制度の最も大きな目的の一つは、税の取りはぐれをなくすことである。生存中に徴収する所得税、住民税、贈与税などに加えて、生存中に取りはぐれたかもしれない税金を、本人の死後、残した資産に対して相続税を課して完結する。正確な課税をするためには個人の金融資産の把握が欠かせない。本年1月からマイナンバーを銀行の預貯金口座とひも付けるためにマイナンバーの登録が始まった。当面は任意だが、3年後の義務化をめざす。証券口座ではすでに番号の提供は義務化され、口座開設時などに求められる。古くに口座を開いた人を含め、すべての口座で番号登録を終えるのが政府の計画だ。富裕層の税逃れをターゲットにしていると思われるが、富裕層でなくても自分の財布の中身を監視されるのは気持ちの良いことではない。政府のロードマップによると、マイナンバーカードをクレジットカードとして活用することも検討されており、将来、民間のクレジットカード作成時にもマイナンバーを通知することを義務付けることも容易に想像できる。そうなると我々の消費や購買行動も把握されることになる。益々気分が悪い。さらに、2020年度からマイナンバーカードを健康保険証の代わりとして使えるようにする予定だ。将来的にはマイナンバーと医療情報の紐付けを可能とする思惑がある。
 政府は強引にマイナンバーカードの活用拡大と普及を進めようとしている。膨大な個人データがひとつのマイナンバーに紐付けされると、個人の人物像を仮想的に作り出すプロファイリングが可能となる。そうなると国家による個人の監視がより強化される。特定の個人情報が警察や公安機関に提供されれば、人権侵害につながる可能性がある。マイナンバー制度は国家による超監視社会に向かっているのではないか。
 また、政府は金融やチケットなど民間サービスにおける利活用にも拡大しようとしている。「カードの多機能化の推進」と称して、マイナンバーカードにさまざまな機能を持たせ、マイナンバーカード1枚で様々な民間サービスの利用を可能とすることを計画している。そうなると、サービスを利用する都度、マイナンバーカードを持ち歩くことになる。紛失、盗難、なりすましによる不正使用などのリスクが高まる。一つのカードにさまざまな機能を統合し、多目的に利用するよりも、重要なカード類は複数、別々に所持していた方がリスクは分散されると思うが、いかがだろうか。
 マイナンバーカードの利活用の範囲が広がれば広がるほど情報漏洩のリスクも高まり、ひとたび情報漏れが起これば、さまざまな個人情報がたぐり寄せられることになりプライバシーが侵害される。遺伝子情報なども含む機微性の高い医療情報が万が一漏洩でもした場合は、将来的な病気の予測などが、プライバシーの侵害のみならず、差別や人権侵害につながる恐れがある。セキュリティ強化と情報漏洩はいたちごっこであり、情報漏れの危惧は拭いきれない。
 マイナンバーカードの更なる利活用拡大に反対する。

(2018年6月20日)