私たちからの訴え

「給付率自動調整システム」の撤回を求めて理事会声明を発表

 財政制度等審議会がまとめた「春の建議」において、新たな患者負担増の施策として「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組み」(給付率自動調整システム)の導入が提言されたことを受け、当会では、5月25日、給付率自動調整システムは直ちに撤回することなどを求めて、下記の理事会声明を発表しました。


【声明】

 一方的に患者負担増を強いる

「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入」提案は撤回することを求める

 5月23日に財政制度等審議会では、「骨太方針2018」に向けて「春の建議」をまとめた。この中には社会保障費を抑制するための様々な施策が盛り込まれており、その目玉として、医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入を掲げて、そのための具体的方策についての検討を開始するよう求めている。
 この「仕組み」について「提言」では、「医療費そのものを抑制しつつ、医療給付費や経済・人口の動向に応じて、支え手の負担が過重とならないよう一定のルールに基づき給付率を調整する」と説明しているが、これは、医療費が伸びた場合、保険料の引き上げ抑制を口実に、公費の拡充ではなく、もっぱら患者負担増のみで対応するというものである。これに対し、厚労省は、1)患者負担の引き上げにあたって、患者の受診行動や家計といった医療や生活の実態が考慮されず、患者負担が過大になるおそれがある、2)インフルエンザの流行や新薬の導入などの一時的要因で変動する医療費や、景気の変動等に応じ、頻繁に患者負担が変わり、将来の医療に対する国民の安心を損ねるおそれがある、など問題点を指摘している(4月19日の社会保障審議会医療保険部会)。また、与党内においても慎重論があったことも聞いている。
 憲法第25条第2項では、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とある。この規定からいっても公費の拡充を不問にした「仕組み」の導入は認められないし、2002年健保法改正法附則に規定された「将来にわたって7割の給付を維持すること」に反するものである。保険料負担とともに、「この仕組み」によって高率・高額の患者負担となれば、医療保険制度の存在意義が揺らぎ、国民皆保険制度そして日本の社会保障制度は壊れてしまいかねない。
 このような提案は、ただちに撤回すると共に、「骨太方針2018」に「検討事項」として盛り込むことはやめるべきである。
 超高齢化社会に必要なのは、むしろ患者負担を軽減し、世代・所得に関わらず、お金の心配なく医療機関に受診できることで、重篤化を防ぎ、健康寿命の延伸を進めることである。それが、国民間の連帯と政府への信頼を築くことになる。

 私たちは、一方的に患者負担増を強い、国民皆保険の崩壊を招きかねない「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入」の提案を撤回するよう求める。

2018年5月25日    山口県保険医協会理事会