私たちからの訴え

「下関市地域医療の確保に関する基本計画」に対してパブリックコメントを提出

 「下関市地域医療の確保に関する基本計画」の策定を進める下関市は、同計画案についてパブリックコメント(パブコメ)を募集していたことから(3/18~4/17)、下関支部では意見を提出しました。
 なお、同計画案については、下関市HPに掲載されています(パブコメ中の頁表示は、同計画案の頁に対応しています)。


【はじめに】
 下関医療圏における医療資源データでは、病床数は減少傾向にあるものの、二次医療圏内での完結率は高く、この状況を崩すことなく、将来設計を推進していくことが求められます。
 これからの人口減少、少子高齢化の時代を迎え、国政による地方切り捨て、一都集中型の人口移動の推進施策が続けられている中で、下関市地域医療の確保に関する基本計画(案)(以下基本計画(案))をまとめられたことに、心からの敬意を表するものです。
 医療・介護は、住民生活を支える基本的なインフラ事業です。今回の基本計画(案)は、具体的な施策等が示されていないものの、住民の視点に立った医療提供体制の構築が示されており、今回の基本計画の理念を柱に、現在進行中の地域医療構想の策定、地域包括ケアシステムの構築、保健医療計画の実施を望むものです。

【地域医療体制の充実】(58頁)
 外来医療における一次医療のあり方について、かかりつけ医制度や総合診療専門医を想定したものと推測されますが、かかりつけ医制度の促進においては、既に地域の開業医はその役割を担っており、一次医療はゲートキーパー的に医療へのフリーアクセスを妨げるものであってならないと考えます。そのための住民への啓発には誤解を招くことがないよう、細心の注意が必要となります。

【在宅医療の充実】(59頁)
【医療・介護の連携強化】(60頁)
 地域医療構想、地域包括ケアシステムの構築においては、国の方針として患者を病院から在宅・介護施設へと移すことで、医療費削減ありきの施策となる懸念があります。患者への医療提供の場所は、「在宅が望ましい」わけでは決してありません。病院、施設、在宅は、それぞれが選択肢のひとつであり、最も大切なことは、質の高い医療・介護ケアを確保することにあります。そのカギとなるのが、①患者と家族の意思②終末期を支える介護力や社会的サポート力③医療・介護の提供力④これらを繋ぐケアマネジメントです。
 地域医療構想、地域包括ケアシステム、保健医療計画等は、それぞれが個別の課題を抱えていますが、同時に一体となって進めなければ、綻びが生まれます。そのため、各議論の場においては、横断的な繋がりが重要になると考えます。

【医療人材の確保・育成】(62頁)
 育成環境の整備においては、現在議論が進められている地域医療構想において、若手医師の確保も見据えた基幹病院の再編が議論されています。今回示された総合診療専門医の養成機関の充実、育成環境の整備は、下関市の将来を見据えた場合に、地域医療の根幹を支える重要な施策と思われます。
 さらに、各診療科の専門医についても高齢化の傾向となっています。総合診療専門医はもちろんのこと、診療科の偏りなく各診療科の専門医の育成・人材確保が重要と考えます。 基幹病院の再編ありきではなく、地域医療の確保のためにも、関係各所に働きかけも含めて着実に推進する必要があります。
 加えて、医療従事者の確保においては、医師・歯科医師を支える医療・介護従事者の確保も急務となっています。すでに地域の開業医では、医療従事者の確保が厳しい状況が続いており、今後、ますます困難な状況が生まれることが予想されるため、下関市としての街づくりが非常に重要になると考えます。
 若者が住みやすい街になるため、医療行政としてできることは、周産期~子育て世帯への支援制度(子ども医療費助成、ワクチン接種費用助成、妊産婦医療費助成等)の充実であり、子育て世帯の就労支援(幼保育サービスの充実、短時間勤務への支援等)を行うことにより、福祉関係の就業も促進され、下関市の街づくりの中核を担うことも可能であると考えます。特に子ども医療費助成制度の拡充は、すでに全国的には中学卒までの窓口負担の無料化が基本水準となっており、この水準以下の街は、子育て世帯からは「住みたくない街」となることを認識すべきです。